鉄道ファン憧れの一等展望車~読売新聞の過去映像から

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 読売新聞社のアーカイブに眠るニュース映像から、鉄道ファン憧れの一等展望車に関するものを集めた。昨今、各地で走る豪華列車の元祖といえる存在だ。

観光目的で走る豪華列車

トランスイート四季島
トランスイート四季島
暖炉風オブジェのある四季島の個室
暖炉風オブジェのある四季島の個室

 現在、JRが運行する豪華列車の代表格は、九州の「ななつ星in九州」、東日本の「トランスイート四季島」、西日本の「トワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)」。これらは観光目的で各地を巡る寝台列車。一車両に数室しかない個室と、ダイニングカーやラウンジカーからなる編成は、設備も装飾も豪華で、ヒノキ風呂が付いている部屋もある。

 沿線の最高の食材を使った食事が楽しめたり、ふだんは未公開の施設へ案内されたり、至れり尽くせりのサービスが受けられる。料金は3泊4日で最高約140万円だが、乗車券は運行のたびに抽選になる人気だ。

かつての展望車は貴賓室

東海道線を走る特急「つばめ」。最後尾が展望車
東海道線を走る特急「つばめ」。最後尾が展望車
ゆったりしたソファ席が並ぶ展望車内(1951年5月)
ゆったりしたソファ席が並ぶ展望車内(1951年5月)

 戦前から1950年代まで、東海道線の特急列車には、一等車から三等車(現在の普通車。一・二等車だけの編成もあった)まで連結されていた。中でも最も豪華だったのが一等展望車だ。

 鉄道院(現JR)が初めて一等展望車を連結したのは12年、新橋ー下関間の特急列車だった。皇族や政府、財界、軍部の要人などの利用に供するためで、事実上の貴賓室だ。

 定員十数人の展望車内は、白布がかけられたソファが並び、列車ボーイと呼ばれた給仕員が乗客にきめ細かなサービスを提供した。

 車内冷房も、50年代頃までは一等車、一等寝台車、食堂車のみだった。ちなみに、展望デッキは、主に要人が駅での見送りに応えるために使われ、実際に高速走行中の景色を楽しむ客はあまりいなかったといわれる。

 長距離旅行をするには、ほぼ鉄道しか選択肢がない時代。列車本数も少なく、庶民は普通列車の窮屈な三等車に長時間のすし詰め乗車を余儀なくされた。特急の一等に乗るには三等の4・5~5倍近く、二等でも2・5倍のお金がかかり、加えて特急・急行券はなかなか入手できないほど枚数が少なかった。一等車は、所得格差が極めて大きかった当時、庶民には手が届かない「別世界」だった。

電車には「パーラーカー」

運行開始を前に大阪駅で公開された「パーラーカー」車内(1960年5月)
運行開始を前に大阪駅で公開された「パーラーカー」車内(1960年5月)
「パーラーカー」で記者会見する池田勇人首相(1960年9月)
「パーラーカー」で記者会見する池田勇人首相(1960年9月)

 東海道線全線電化後の58年、東京ー大阪・神戸間に電車特急「こだま」が登場。60年には客車特急だった「つばめ」「はと」も電車特急に衣替えした。そして一等展望車に代わり、「パーラーカー」という特別車両が連結された。

 パーラーカーは、4人用個室が1室と、通路を挟んで左右に1列7席ずつ、回転可能なリクライニングシートが並んだ。「展望車」にふさわしく大きな窓が特徴で、自席から東京・名古屋・大阪 圏へ電話をかけたり、備え付けのイヤホンでNHKのラジオ放送を聴いたりすることができた。

 展望デッキこそなかったが、パーラーカーは一等展望車の後継にふさわしい豪華さと気品を備えた車両として、東京オリンピックを前に増加していた外国人観光客などの評判も良かった。

 64年の東海道新幹線開業後、山陽線の特急列車に転用されたパーラーカーは、その豪華さゆえに東海道線ほどの需要がなく、次々と一般仕様の一、二等車(現在のグリーン車と普通車)に改造されて姿を消した。計12両製造されたパーラーカーは、残念ながら1両も現存しない。

【参考文献】佐藤美知男著『鉄道物語』(河出書房新社)▽『昭和の鉄道〈30年代〉』(JTBパブリッシング)▽星晃著『回想の旅客車「上」』(学習研究社)
38776 0 2018/08/29 15:30:00 2018/08/29 15:30:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180829-OYT8I50015-T.jpg?type=thumbnail

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