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    旅の専門誌「旅行読売」から、旅に役立つ特選情報をお届けします。

    ぐるりと海 絶景の風呂から富士を眺める

    海のほてる いさば(静岡県沼津市)

    • 駿河湾と富士山、夕日を眺められる貸し切り風呂「夕日のかがやき」(40分2160円)
      駿河湾と富士山、夕日を眺められる貸し切り風呂「夕日のかがやき」(40分2160円)

     ガラス張りの貸し切り風呂をぐるりと囲むように、海が弧を描いている。湯船につかると、まるで海に浮かんでいるようだ。海の向こうには富士山、絵のような光景をひとりじめできるなんて、なんとぜいたくな時間だろう。

     修善寺から戸田(へだ)までバスで約50分。西伊豆の玄関口、戸田では駿河湾越しにはるか大きく富士山が見えるという。そんな話を聞いたら、たまらなく青い海の向こうの富士山を見たくなった。戸田港の周囲に民宿も多いが、せっかくなら眺めのいい宿で思い切り景色を楽しみたいと、高台にある「海のほてる いさば」を選んだ。

     「駿河湾を見下ろし、夕日と富士山を両方見ることができるので、貸し切り風呂目当てにいらっしゃるお客様が多いです」と、専務の川合裕介さん。

     いさばには、時間によって男女入れ替えの屋上露天風呂のほかに「絶景貸切風呂」(要予約)が四つあり、すべてのプランで1回無料で利用できる。どの風呂も海を一望できるが、そのうちの二つの貸し切り風呂からは富士山が見える。

     ところが、当日は晴れているのに、富士山の姿はない。気温が上がると雲がかかってしまうため、夏場は午後になると見えない日も多いそうだ。おすすめは早朝と聞き、翌朝7時に貸し切り風呂を予約。荷物を預けて街を散策することにした。

    夕食では深海魚も味わえる

    • 夕食は個室でとる(写真はスタンダードプラン)。季節によりタカアシガニの代わりに和牛が付くことも
      夕食は個室でとる(写真はスタンダードプラン)。季節によりタカアシガニの代わりに和牛が付くことも
    • 客室は和洋室と和室。富士山の見える特別室もある
      客室は和洋室と和室。富士山の見える特別室もある

     戸田港の端の御浜海水浴場まで宿から歩いて5分。外海と細い水路で続いている湾内は、湖のように穏やかで、浜辺で遊ぶ親子連れや釣り糸をたれる人たちが数人いるのみ。にぎやか過ぎる観光地では味わえないのどかな雰囲気だ。

     戸田塩という看板を見つけ、のぞいてみると、海水を炊いて塩を作っているという。

     「昔、この辺りで塩作りをしていたという古文書があり、街おこしで始めたんです」と、「戸田塩の会」の中村多恵子さん。(まき)にもこだわり、火加減の調整、乾燥や袋詰めまですべて手作りで行う。1日15~20キロしか炊き上がらない上、商品になるまで1か月はかかる。なめてみるとまろやかで甘みがある。見学は自由、予約すれば塩作り体験もできる。

     戸田といえば深海魚の街。今はすっかり高級魚になったが、スタンダードプランの夕食にも代表格のタカアシガニが少し付く。初めて食べるタカアシガニは、濃厚でロブスターのような味。想像以上にうまい。この辺りではカニミソにつけて食べるそうだ。トロボッチという珍しい深海魚の空揚げも美味。先ほどの戸田塩を付けると、魚の脂と塩のうまみが合わさり、お酒にもよく合う。

     翌朝は晴れ。やっと念願の富士山が顔を出した。うっとりと眺めながら貸し切り風呂につかる。仲居さんによれば「富士山がきれいなのは11月から2月です。この時期、1泊で見えたなんてラッキーですよ」とのこと。

     今回の旅は、幸運というお土産付きだった。

     文/高崎真規子 写真/三川ゆき江

    海のほてる いさば

     電話/0558・94・3048

     料金/2人1室利用の場合、大人1人2万1750円~。4人1室利用の場合、大人1人1万9590円~

     交通/伊豆箱根鉄道駿豆線修善寺駅からバス50分、戸田下車送迎5分(要予約)/新東名高速長泉沼津ICから伊豆縦貫道、伊豆中央道、県道130、17、127号経由約60キロ

     (月刊「旅行読売」2018年8月号より)

     月刊「旅行読売」は、1966年創刊。「読んで楽しく、行って役立つ旅の情報誌」がモットー。最新号や臨時増刊などの案内は こちら

    2018年07月05日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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