文字サイズ
    旅の専門誌「旅行読売」から、旅に役立つ特選情報をお届けします。

    「半分、青い。」の町並み抜け、堅固な山城へ

    岩村城(岐阜・恵那市)

    • 懐かしい雰囲気の明知鉄道岩村駅ホーム
      懐かしい雰囲気の明知鉄道岩村駅ホーム

     岐阜県南部、恵那山の麓にある岩村城の城下町がにぎわっている。恵那駅で乗り換えた1両編成の明知鉄道は、車窓に山あいの田園を見ながら各駅停車で走る。岩村駅で降りると、家々の背後にこんもりとした山並みが見えた。目指す岩村城跡はその深い緑にひっそり埋もれている。本丸があった標高717メートルは国内の城では最も高い。駅から本丸跡まで歩く往復2時間のハイキングだ。

     岩村町本通りに出ると、国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれた美しい町並み。山に向かってのびる坂道と軒を連ねる古民家の風景は木曽路の宿場町に似ている。高札場があった枡形(ますがた)(敵が直進できないよう直角に曲げたクランク)の前後で町並みが変わる。ここから駅側は岩村電気軌道が開業した明治後期以降の建物が多く、昭和レトロ。その雰囲気は今年のNHK連続テレビ小説「半分、青い。」の主人公の実家「ふくろう商店街」のイメージそのままだ。ロケ地巡りの観光客が増え、各所に展示されているドラマ関連の写真の前で歩みを止めるファンらしき人を見かける。

    • 「ふくろう商店街」としてドラマ「半分、青い。」のロケ地となった岩村町本通り
      「ふくろう商店街」としてドラマ「半分、青い。」のロケ地となった岩村町本通り

     枡形を過ぎると、江戸時代、商人が住んだ旧下町・中町、職人が住んだ上町の町割に、城下町の雰囲気が残っている。この間、酒蔵見学や試飲ができる岩村醸造、長崎伝来カステーラが名物の松浦軒本店など魅力的な店に後ろ髪をひかれる。駅からの通りに五平餅や栗菓子の店もあり、帰りにどこか寄りたい。

     上町の常夜灯を曲がりさらに上ると、復元された太鼓(やぐら)や表御門の奥の藩主邸跡に歴史資料館がある。登城口から林間に敷かれた石畳の道を上がっていく。

     「ドラマ効果で客が倍増しましたが、城跡まで上る人は多くありません。ただ熱心なお城ファンもいて、『上りは攻め手、下りは守り手の気持ちが想像できて山城は楽しい』と話していた“城ガール”が印象的でした」と岩村町観光協会の観光ガイドの堀高久さん。

    壮観 「六段壁」の石垣

    • 急峻な地形に高い石垣を造り、崩落防止のため前に石積みを繰り返して生まれた階段状の巨大な「六段壁」
      急峻な地形に高い石垣を造り、崩落防止のため前に石積みを繰り返して生まれた階段状の巨大な「六段壁」

     山道を登る。木々が日を遮り涼しいが、かなり急だ。一本道で解説板が置かれているので迷うことはない。要所に初門、一の門、土岐門、大手門といった兵士が詰める門扉の跡。防衛の工夫も見られ、大手門へ続く空堀の板橋、通称「畳橋」は、戦闘時に外せるようになっていた。本丸前、石垣が六段積みになっている「六段壁」も壮観。いかにも堅城だ。

     事実、岩村城を落とすのは容易ではなく、戦国時代、武田氏と織田氏の抗争地となった時はいずれも攻城に苦労している。中でも「女城主」の悲劇がよく知られている。織田信長の叔母おつやの方は幼い城主の補佐役となったが、武田勢に敗れて配下と婚姻、後にそれに激怒した信長によって半年の篭城戦の末に処刑された。江戸時代以降は譜代藩として松平氏らが城主になっている。

     本丸跡には古井戸のほか何も残っていないが、登城したという達成感は大きい。少し休んだら坂道を下ろう。

     文・写真/福崎圭介

    交通/名古屋駅から中央線快速1時間の恵那駅で明知鉄道に乗り換え30分、岩村駅下車

    問い合わせ/電話0573・43・3231(岩村町観光協会)

     月刊「旅行読売」は、1966年創刊。「読んで楽しく、行って役立つ旅の情報誌」がモットー。最新号や臨時増刊などの案内は こちら
    2018年10月11日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大手町モールのおすすめ
    帆布鞄
    PR情報
    大手町モール
    ブランディア
    アーカイブ