“星の降る里”で天の川を見る

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芦別温泉スターライトホテル(北海道芦別市)

芦別市北部、深川市との境にある新城峠付近から見た天の川(写真/薮伸一)
芦別市北部、深川市との境にある新城峠付近から見た天の川(写真/薮伸一)

 原生林に囲まれたホテルの屋上で、夜空を見上げる。最初はまばらにしか見えなかった星が、10分、20分と過ぎて暗闇に目が慣れてくると、誰かが明かりを(とも)し始めたかのように、ひとつまたひとつと増えてきた。そしてある時を境に、その数の多さに愕然(がくぜん)とした。「星が降る」とは言い得て妙。本当に星が降ってくるような錯覚に包まれた。白、赤、(だいだい)、大小、強弱入り交じった星の群れに宇宙の神秘を実感した。

 ここは北海道のほぼ中央に位置する芦別市。根室線が通り、旭川からバスで1時間15分、車なら道央道滝川ICから30キロほどだ。

 普段の仕事帰り、駅からの夜道で空を見上げても、星は数えるほどしか見えない。そこにあるはずのものが見えないもどかしさに耐えきれず、「星の降る里」を標榜(ひょうぼう)する芦別市へ向かったのだ。

 「天の川は見えるのでしょうか?」。初歩的な質問を事前に現地へ投げかけると、「いつも空に流れていますよ」と芦別市商工観光課の多田都奈観(つなみ)さん。「いつも」は多少の誇張としても期待できる。そしてすすめられたのが、毎晩スターウォッチングを開いている芦別温泉スターライトホテル。玄関にも天体望遠鏡が並び、館内随所を明るい夜空をイメージしたブルーで飾るなど、名実ともに星の宿だ。

 スターウォッチングは20時から。星や星座などの解説を聞いてから、屋上へ出る。それが冒頭に記したシーンだ

市内全域が天然のプラネタリウム

温泉は保湿性が高く滑らかな肌触り(芦別温泉スターライトホテル)
温泉は保湿性が高く滑らかな肌触り(芦別温泉スターライトホテル)
「星の降る里百年記念館」には昭和28年当時の炭鉱長屋の暮らしを映像システムで再現したマジックビジョン小劇場も(9~17時/月曜休=11~4月は火曜も休=、年末年始休/200円/電話0124・24・2121)
「星の降る里百年記念館」には昭和28年当時の炭鉱長屋の暮らしを映像システムで再現したマジックビジョン小劇場も(9~17時/月曜休=11~4月は火曜も休=、年末年始休/200円/電話0124・24・2121)

 「オリオン座の上の方を見てください」。この日の解説員の吉田純昭(すみあき)さんが指す方向に、淡く白い帯が横たわっていた。天の川だ!

 満天の星どころか念願の天の川まで見られて、これ以上の満足感はない。吉田さんは自宅に天文台を造ったほどの天文ファン。芦別市の星空がきれいな理由は、その89%が山林で空気が澄んでいるから、周辺の光をさえぎるように山々に囲まれているからと話す。

 芦別市が「星の降る里」を名乗るのは、1988年に当時の環境庁による「全国星空の街・あおぞらの街コンテスト」で「星空の街」に認定されたからだ。かつては産炭地として栄えたが、炭鉱の閉山により人口は激減。街に活気を取り戻そうと、美しい星空を観光資源に活用している。市内随所に星がモチーフのモニュメントを設置するなどして天文ファンを歓迎。「道の駅スタープラザ芦別」には、芦別の夜空を体験できるスタードームを備えた「星の降る里百年記念館」もある。

 市内の全域が天然のプラネタリウムと言えるが、商工観光課では、「360度の眺望と市内の夜景も見下ろせる上金剛山(かみこんごうざん)展望台(冬季閉鎖)は穴場、道道4号旭川芦別線の途中にある新城(しんじょう)峠(駐車場は冬季閉鎖だが通行可)はパッチワークのような畑もきれい」とすすめる。雪解けを待って訪ねたい。スターライトホテルには露天風呂もある。静まりかえった北の大地で、湯船につかりながら、凍てつく空に輝く星々を眺めるのも幸せな時間だ。

文/渡辺貴由 写真/齋藤雄輝ほか

芦別温泉スターライトホテル

電話/0124・23・1155

住所/芦別市旭町油谷1

料金/1泊2食1万800円から

電車/根室線芦別駅から芦別温泉行きバス20分、芦別温泉下車すぐ

車/道央道滝川ICから国道38、452号経由30キロ

(月刊「旅行読売」2018年12月号より)

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50240 0 たびよみ 2018/11/28 05:20:00 2018/11/28 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181116-OYT8I50038-T.jpg?type=thumbnail

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