7社が競う駅弁王国・新潟へ

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新津・長岡

新潟海老づくし1180円(神尾商事)
新潟海老づくし1180円(神尾商事)

 新潟県は駅弁王国である。日本鉄道構内営業中央会(JR各駅や列車内で駅弁を売る業者の組織)に加盟している業者だけでも7社があり、北海道の12社に次ぐ。新潟駅では約60種の駅弁が売られている。そんな新潟の駅弁を味わう旅に出た。

 新潟に駅弁が多い理由を、新津駅前に本社を構える神尾商事の神尾雅人社長が語る。

 「新潟県内では幹線だけでも信越線、上越線、羽越線、磐越西線などが交差、分岐していて、鉄道利用者が多かったのです。最盛期には17の駅弁業者があったほどです。新津も大変なにぎわいでした。子どもの頃、店を手伝っていると、飛ぶように駅弁が売れたことを覚えています」

 神尾商事はJR新津駅で駅弁を販売して約110年、創業からは120年以上の老舗だ。SLばんえつ物語の運行時や鉄道イベント時には、立ち売りも行う。弁当を担ぐ箱も法被も大正時代からのもの。古い書体が歴史を物語る。

えんがわ押し寿司1200円(神尾商事)
えんがわ押し寿司1200円(神尾商事)
新津鉄道資料館には0系新幹線やC57形蒸気機関車も展示
新津鉄道資料館には0系新幹線やC57形蒸気機関車も展示

 「歴史ある商品は()めるに止められず、新商品も開発したくて」(神尾社長)、約30種があるという中から、今年9月発売の「新潟海老づくし」と、社長の好物でもあるエンガワを駅弁にしたという「えんがわ押し寿司」を選び、ホームでいただく。

 海老づくしは、しんじょ揚げにもご飯の上にもエビがたっぷり使われている。しょうゆ、塩の分量は濃すぎず薄すぎず、エビの風味が生きている。エンガワは私も大好物。握りずしなら8貫はあろうかという量を一人占めできるとは、最高のぜいたくだ。しかも厚めに切られていて、舌の上いっぱいに、その甘みが広がった。

 長い編成の列車が行き交ったホームは、広く見晴らしがいい。その先には山手線の車両も造る総合車両製作所がある。駅からバスで5分の所には新津鉄道資料館もある。「鉄道のまち」をPRする新津の今昔に(おも)いを()せながら、ゆっくり駅弁を味わった。

小さくても意地がある131年の歴史を継承

 JR長岡駅の池田屋をご存じの人は駅弁ツウと言ってもいい。東京駅の「駅弁屋祭」をはじめ、現地に行かなくても駅弁が買える昨今、長岡駅での販売にこだわる会社だ。

 「小さな会社なので、長岡だけで勝負しているというのが本音です」と専務の永橋ひかるさんは笑うが、131年前に仕出し弁当から始まったという歴史を守る姿に感心した。会社を訪ねると、住宅街に埋もれるような小さな造り。

喜作辨當1050円(池田屋)
喜作辨當1050円(池田屋)

 「4、5人の従業員で、365日休むことなく作っています。小さいながらも、私たちにできることは何かを考えながら」と、永橋さんは目を輝かせる。

 9種ほどある中からおすすめの、喜作辨當(べんとう)をいただく。竹皮風の包みを開けると、ご飯、煮物、焼き魚、卵焼きがびっしり詰まり、(ささ)団子まで入っている。「茶色のおかずの弁当はおいしいという説があるんです」の言葉に、同行した新潟出身のカメラマンもうなずいた。

 ご飯は、長岡産コシヒカリ。冷めてもふっくらとした食感が保てるように炊いてある。甘党には笹団子がありがたい。油揚げや漬物は、永橋さんの同級生が営む店のものを使うなど、地元のネットワークをフル活用している。ネーミングの由来は「喜んで作るから」。

 「これを買わないと帰れない。そんな言葉に励まされて暖簾(のれん)を守り、新しい道を開拓します」

 そんな力強い言葉に送られて長岡を後にした。

 文/渡辺貴由 写真/齋藤雄輝

【DATA】

神尾商事

 電話0250・22・5511

新津鉄道資料館

 9時30分~16時30分/火曜休館(祝日の場合は翌日休館)、12月28日~1月3日休・臨時休館あり/300円/電話0250・24・5700 

池田屋

 電話0258・33・2430

 (月刊「旅行読売」2019年1月号より)

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52275 0 たびよみ 2018/12/13 05:20:00 2018/12/13 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181203-OYT8I50090-T.jpg?type=thumbnail

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