佐賀から長崎、駅弁紀行
完了しました
九州一の駅弁を決める駅弁の祭典「九州駅弁グランプリ」。第8回から3回連続で優勝した駅弁が武雄温泉駅にあると聞き、「それはぜひ、食べてみたい!」と佐賀駅から長崎線に乗り込んだ。
武雄温泉駅の「牛すき焼き」と「極上カルビ焼肉」

その駅弁は、武雄温泉駅の改札を出てすぐの観光案内所の中にあるカフェ「カイロ堂」で売られていた。
駅弁グランプリに初出店した2012年に「佐賀牛すき焼き弁当」が優勝。さらに改良を重ね、翌2013年に再び優勝。2014年には新商品として「佐賀牛極上カルビ焼肉弁当」を出品し、優勝することで3連覇となった。
店内には駅弁が山積みかと思いきや、ショーケースに数えるほどしか置いていない。これには、カイロ堂ならではの駅弁へのこだわり、作り方に秘密があった。
「駅弁はすべて店内で手作りしています。自社工場で加工した精肉を店内で調理して盛り付けています。駅弁とはいえなるべく出来たてを提供したい、その思いからです」と語るのは、カイロ堂の親会社、ナチュラルフーズの営業部長兼工場長・

なるほど、作り置きは極力控えて店内で調理する、いわば受注生産による駅弁だったのである。店内には飲食スペースがあり、駅弁を定食としても提供している。
ナチュラルフーズは佐賀県武雄市を拠点に焼き肉レストランや食肉加工場などを運営し、カイロ堂はその姉妹店。工場は武雄温泉駅から少し離れているが、城井さんの計らいで特別に見学させてもらった。佐賀牛を均一にスライスし、余分な脂身を手作業で取り除き、すき焼きの仕込みなどもてきぱきと行っていた。
駅へ戻ってベンチに腰掛け、佐賀牛極上カルビ焼肉弁当の包みを開けた。ジューシーな佐賀牛はとろけるようなうま味があり、自家製ダレと相まって、口の中で絶妙なハーモニーを奏でる。作りたてということもあって、肉の軟らかさもストレートに舌に伝わる。4連覇、5連覇してもおかしくないおいしさである。
佐賀駅の「みつせ鶏」と長崎駅の「鯨すき」

九州駅弁グランプリといえば、旅のスタートとなった佐賀駅にも入賞駅弁がある。1891(明治24)年の創業以来、佐賀駅前に本社を構える「あら玉」の「佐賀みつせ鶏とりトロ弁当」だ。2008年に3位を受賞。
5代目社長の坂本
駅名にある通り、武雄は1300年余の歴史を刻む温泉場。10軒ほどの湯宿のほか大衆浴場もある。夕食に、もう一つのカイロ堂の優勝駅弁「佐賀牛すき焼き弁当」を食べたくて、泊まりは素泊まり専門の楼門亭を選んだ。宿泊客は元湯、

翌日は再び駅弁の旅へ。佐世保線で
文・写真/松尾 諭
カイロ堂
8時30分~18時/年末年始休/電話0954・22・2767
あら玉
電話080・1533・8848
楼門亭
1泊素泊まり4500円~/電話0954・23・2111
くらさき
フリーダイヤル0120・094083
(月刊「旅行読売」2019年1月号より)
