老舗の味が光る敦賀・福井の名物駅弁

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「鯛の舞」12切れ入り(敦賀駅など/1600円)
「鯛の舞」12切れ入り(敦賀駅など/1600円)

 若狭湾の東端に位置する敦賀は、1882年、日本海側で最初に鉄道が開通した街。鉄道の歴史ある所に老舗の駅弁あり。そんな期待を胸に、北陸線の旅に出た。

 米原駅から特急しらさぎで約30分、敦賀駅に到着。遅い朝食にしようと、ホーム売店で敦賀の有名駅弁の「鯛の舞」を購入した。

 長方形の杉の木箱のフタを開けると、寿司(すし)飯の上に小鯛(こだい)の切り身が隙間なく敷き詰められている。白や銀色に輝く押し寿司は気品があり、華やか。小鯛は若狭湾近海で()れたレンコ鯛。しっかりした身は食べ応えがある。寿司飯はほんのり甘く、薄塩でしめたレンコ鯛とよく合う。なんと上品な味だろう。杉箱のさわやかな香りも、おいしさに一役買っている。

 製造元の塩荘(しおそう)は1903年創業。当時の敦賀町長から要請され、初代の塩屋(そう)兵衛(べえ)が駅弁事業を始めたという。1936年、3代目荘兵衛が試行錯誤の末に鯛(ずし)を完成させ、「元祖鯛鮨」として塩荘の看板駅弁となった。「鯛の舞」は、その伝統の味を受け継いでいる。

「荘兵衛さんの鯖街道 極上焼きさば寿し」(敦賀駅など/1850円※前日までに要予約)
「荘兵衛さんの鯖街道 極上焼きさば寿し」(敦賀駅など/1850円※前日までに要予約)

 売店でもう一つ、予約しておいた「荘兵衛さんの(さば)街道 極上焼きさば寿し」を受け取った。竹皮の包みを開けると、香ばしい香りとともに、黄金色に光る「焼きさば」が現れた。身は驚くほど肉厚。それもそのはず、長崎の五島列島沖で獲れる寒サバの中でも、600グラム以上あるサバを使用。脂がのりジューシーな「焼きさば」と寿司飯のハーモニーは、まさに極上の味だ。

 どちらの寿司も期待を裏切らない味で、魚の質と量に大満足。塩荘は創業から115年間、戦時中の空襲や豪雪の時も、一日も営業を休んだことがないという。そんな老舗の誇りや努力が、駅弁の中身にも感じられた。

 お(なか)いっぱいになったところで、港町敦賀を散策することにした。敦賀駅から「ぐるっと敦賀周遊バス」で約10分。金ヶ崎緑地で降りると、旧敦賀港駅舎を再現した敦賀鉄道資料館があった。戦前、東京・新橋駅―敦賀港駅間を欧亜(おうあ)国際連絡列車が走り、敦賀港とロシア・ウラジオストクを結ぶ定期船に連絡していた。東京からパリまで、シベリア鉄道を経由して約17日で行けたという。往時の敦賀港は、きっと国際色豊かだったことだろう。

ご飯もおかずもカニづくし ロングセラーの名物駅弁

「越前かにめし」(手前)と冬季限定の「越前ちゅんちゅんかにめし」
「越前かにめし」(手前)と冬季限定の「越前ちゅんちゅんかにめし」

 福井駅の名物駅弁は、1902年創業の老舗、番匠(ばんじょう)本店が作る「越前かにめし」(1300円)だ。ズワイガニのメスであるセイコガニの卵巣やミソ、身などを炊き込んだご飯の上に、ズワイガニとベニズワイガニの抜き身がたっぷり載っている。米は福井県産コシヒカリに、福井県産米を季節ごとに品種を替えて混ぜ、九頭(くず)(りゅう)川の伏流水の地下水で炊く。1961年の発売以来、駅弁大会などでも常に人気があるロングセラー駅弁だ。

 材料がごくシンプルな弁当だけに、時期や漁場による材料の微妙な味の変化に気を配るという。

 「毎日、社員と試食を欠かしません」と、社長の山田和徳さん。

 11月から3月は、冬季限定販売の「越前ちゅんちゅんかにめし」(1880円)もおすすめ。「ちゅんちゅん」とは福井弁で「アツアツ」の意味。加熱式容器入りで、(ひも)を引っ張ると数分で温かくなる。温めると、ふわっとカニの香りが引き立つ。「越前かにめし」と同じ炊き込みご飯の上に、抜き身とベニズワイの棒肉が載っている。ユズ胡椒(こしょう)とポン酢を混ぜたカニミソも別容器で添えられ、カニと一緒に食べると、いっそうおいしい。

 文/出口由紀 写真/宮川 透

塩荘
 電話0770・23・3484

敦賀鉄道資料館
 9~17時/月曜休(祝日の場合は翌平日休)/無料/電話0770・21・0056

番匠本店
 電話0776・57・0849

 (月刊「旅行読売」2019年1月号より)

 月刊「旅行読売」は、1966年創刊。「読んで楽しく、行って役立つ旅の情報誌」がモットー。最新号や臨時増刊などの案内は こちら
56183 0 たびよみ 2019/01/10 05:20:00 2019/01/10 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181226-OYT8I50047-T.jpg?type=thumbnail

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