九州の山里で雪見風呂や酒巡り

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黒川温泉(熊本県南小国町)

 九州にも雪が似合う温泉があると言うと、驚かれるだろうか。

 黒川温泉は熊本と大分のほぼ県境の山深い温泉地。四季折々に魅力的な表情が楽しめるが、雪の時期は特に美しいと聞いて訪ねてみた。 

 「約700メートルと標高が高いので、年明けからは雪が降る日も多くなります。約2万本ある木々の上に粉雪が降り積もる様子はとてもきれいですよ。湯煙ともあいまって、温泉街全体が白一色に染まるんです」

 こう話すのは、黒川温泉観光旅館協同組合の後藤麻友さん。温泉宿それぞれに自慢の風呂があり、さまざまな泉質と雪見風呂が楽しめるという。

渓流と森に囲まれた「山みず木」の男性用露天風呂「幽谷の湯」
渓流と森に囲まれた「山みず木」の男性用露天風呂「幽谷の湯」

 なかでも今回泊まった「山みず木」(1泊2食1万8510円から)は雪見には絶好のロケーション。温泉街の中心からさらに100メートルほど高い場所にあるため、雪が解けにくく、眺めもいい。空気はキーンと痛いほど冷たいが、湯船のすぐ隣には渓流が流れ、野趣も満点。川の向こうには、クヌギ、ナラ、モミジなどの広葉樹の森が広がり、雪が降ると一面の銀世界に変身する。

 広大な宿の敷地はまるで集落のよう。点在する茅葺(かやぶ)き屋根にこんもりと雪が積もり、軒先に輝くつららや白い棚田など、日本の原風景を感じさせる。そんな雪景色の中を散策するのも楽しい。


首から「入湯手形」をぶら下げ、温泉街へ

 チェックインをすませ、さっそく温泉街に繰り出す。まずは観光案内所「(かぜ)()」で、「温泉入湯手形」(1300円)をゲット。この手形一枚で黒川温泉の28か所の露天風呂の中から好みの3か所の湯に入ることができる。手形を首からぶら下げて、和の風情たっぷりの街をぶらぶらと湯巡りする。

 雪が降っても温泉街をゆっくり歩けるよう、付近の店や旅館では除雪作業を欠かさない。ちらちらと雪が舞う温泉街を雪駄(せった)履きで歩けば、旅情もいっそう盛り上がる。

「かっぽ手形」を見せると竹の器に酒を注いでくれる(写真は「いこい旅館」)
「かっぽ手形」を見せると竹の器に酒を注いでくれる(写真は「いこい旅館」)
冬の人気企画「湯あかり」。川端通り沿いの田の原川が灯籠でライトアップされる
冬の人気企画「湯あかり」。川端通り沿いの田の原川が灯籠でライトアップされる

 お酒好きな方には、さらに、「かっぽ手形」(1500円)もおすすめしたい。対象となる宿や商店の中から、3軒を選んではしご酒が楽しめる。お酒の種類は地元の日本酒、芋焼酎など、宿や店によってさまざま。どぶろくを出す店もある。米どころでもある南小国町は、どぶろく造りの特区になっているそうだ。店によって思い思いのつまみも付く。飲めない人には、ソフトドリンクや甘酒もある。

 さて、どこにしよう? 迷った末、暖かそうな囲炉裏に引かれて立ち寄ったのは、「いこい旅館」。囲炉裏の火にあたりながら、温泉卵をつまみに地酒をちびちびやれば、心も体もぽかぽかだ。

 さらに黒川温泉には「湯あかり」という冬の名物イベント(2019年3月31日まで)もある。竹製の毬灯籠300個を()(はる)川の空中に設置。日暮れとともにライトアップし、幻想的な夜景を浮かび上がらせる。川沿いにある宿であれば、露天風呂からもそのノスタルジックな明かりが楽しめる。

 ちなみにこれら灯籠はすべて、地元の宿や商店の人々が3か月をかけて手作りしたもの。派手さはないが、心にしみいるようなその明かりの一つ一つに、黒川の人々のおもてなしの思いが込められている。

 文/茂島信一

【観光などの問い合わせ】

 黒川温泉観光旅館協同組合

 電話 0967・44・0076

 https://www.kurokawaonsen.or.jp/

 (月刊「旅行読売」2019年2月号より)

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20004 0 たびよみ 2019/01/17 05:20:00 2019/01/21 13:06:04 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190111-OYT8I50040-T.jpg?type=thumbnail

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