小さな漁港、温泉をつなぐ海岸線ドライブ

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静岡・西伊豆

東名高速沼津ICから約100キロ、雲見温泉からも富士山がくっきり見えた
東名高速沼津ICから約100キロ、雲見温泉からも富士山がくっきり見えた

 断崖絶壁やビーチの前の海は、どこまでも透明で、空の色を映して紺碧(こんぺき)に輝く。県道17号、国道136号を通って伊豆半島西部を南下するドライブは、富士山を背に、美しい海を右側に見ながら走る。海岸線のルートだけに、港町を抜け、時には崖の上を走る。上り下りがあり、カーブも連続する。1000年以上にわたり天然塩を作る井田(いた)の集落と駿河湾を眼下に、その向こうにそびえる富士山を眺める「(きら)めきの丘」のような休憩・美観スポットが要所に設けられている。先を急ぐより、展望スポットにクルマを止めて、その場所ならではの景観を堪能したい。

 道中には戸田(へだ)土肥(とい)、堂ヶ島など名前が知られた温泉地がある。さらに、小土肥(おどい)宇久須(うぐす)岩地(いわち)石部(いしぶ)雲見(くもみ)などの温泉通に人気の小さな温泉地も点在する。これらの温泉地は、それぞれに個性的で、それぞれに観光名所もある。

駿河湾深海生物館は駿河湾などで揚がった深海魚の標本を展示
駿河湾深海生物館は駿河湾などで揚がった深海魚の標本を展示

 まずは戸田。水深2500メートルと日本一深い湾である駿河湾には、さまざまな魚介類がすむ。その一種が世界最大のカニ、タカアシガニだ。タカアシガニは水深200~500メートルに生息し、主な漁法は底引き網になる。漁獲高日本一の戸田には、タカアシガニ料理店と、たまたま網に掛かった深海魚を標本展示する駿河湾深海生物館があった。

 生物館は規模こそ小さいが、「古代サメ」と呼ばれるラブカや、肌がおろし金のようなオロシザメの貴重な標本などがあり、期待以上に楽しめる。併設の戸田造船郷土資料博物館では、幕末に戸田沖で沈没したロシア船に用いられた家具や資料を展示。ロシア船員たちは戸田に避難し、本国に帰るための日本初の洋式帆船「ヘダ号」を造船した。それに協力したのが、戸田の船大工たちだった。

金山で栄えた港と伊豆ジオパークへ

 次の立ち寄り温泉地は土肥。土肥金山は江戸時代から1965年の閉山時まで、新潟県の佐渡金山に次ぐ生産量を誇った。総延長100キロ以上の坑道のうち、350メートルが見学可能だ。坑内作業風景は電動人形によって再現されている。

 黄金館に展示されているのは、ギネスブック認定の重さ250キロ、世界一の巨大金塊だ。また、30分間で30粒以上採れば「砂金採り名人」の免許皆伝となる砂金採り体験もできる。筆者の成果はわずか8粒。名人への道は厳しい。

「めし処 味蔵山」の「塩鰹うどんとアジの干物」。お総菜バイキング付きで1500円
「めし処 味蔵山」の「塩鰹うどんとアジの干物」。お総菜バイキング付きで1500円

 土肥金山に隣接する「めし処 味蔵山(あじくらやま)」で昼食をとる。郷土料理と「おふくろの味お総菜バイキング」が人気の店だ。西伊豆の保存食として重宝されている「塩鰹(しおがつお)」は、カツオの塩漬けを干したもの。それを細かくして、うどんにかけ、温泉卵と一緒に食べる。塩味がほどよく利いていておいしい。総菜メニューに西伊豆名産の天草(てんぐさ)で作った「ところてん」もあった。

 見晴らしのいい恋人岬を経由して着いたのは堂ヶ島だ。2000万年前に海底火山群だった伊豆半島は、フィリピン海プレート上に火山島となって現れ、プレートと共に北に移動。約60万年前に本州に衝突して伊豆半島が形成された。

堂ヶ島クルーズのハイライトは国の天然記念物「天窓洞」
堂ヶ島クルーズのハイライトは国の天然記念物「天窓洞」

 ジオ(地球・大地)とパーク(公園)を組み合わせた言葉が「ジオパーク」で、伊豆半島を含む国内9か所がユネスコ世界ジオパークに認定されている。堂ヶ島の自然景観も貴重な要素である。遊覧船で巡る天然記念物の「天窓洞(てんそうどう)」は圧巻だ。天窓から降り注ぐ光と、青く輝く水の洞窟。遊覧船は洞窟内まで入っていく。

 今回のドライブの最終地はお手頃な料金で地魚料理が堪能できる雲見温泉の民宿とした。温泉は塩味が強いカルシウム・ナトリウム―塩化物泉。温泉で1日目を締めくくってから、2日目は下田に向かうのか、修善寺方面に行くのか、ゆっくり考えることにしたい。

 文・写真/篠遠 泉

戸田造船郷土資料博物館・駿河湾深海生物館

 9時~16時30分/水曜休、祝日の翌日休/200円(両館見学可能)/電話0558・94・2384

土肥金山

 (観光坑道&黄金館)9時~16時30分/12月10~13日休/860円/電話0558・98・0800

めし処 味蔵山

 11時~15時30分/土肥金山定休日休/電話0558・98・2209

恋人岬

 (売店)9~17時/無休/電話0558・99・0270

堂ヶ島マリン

 (遊覧船)8時15分~16時30分(繁忙期延長あり)/無休(荒波時運休あり)/1200円/電話0558・52・0013

西伊豆・雲見温泉観光協会

 9~16時/電話0558・45・0844

(月刊「旅行読売」2019年5月号から)

◆月刊「旅行読売」
 1966年創刊。「読んで楽しく、行って役立つ旅の情報誌」がモットー。最新号や臨時増刊などの案内はこちら

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534147 0 たびよみ 2019/04/18 05:20:00 2019/04/18 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190412-OYT8I50013-T.jpg?type=thumbnail

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