北関東の田園を走る蒸気機関車で昭和ノスタルジー

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SLもおか(真岡鐵道/茨城県・栃木県)

橋を渡るSLもおか。SLはもう1台、1933年製のC12形66号機もある
橋を渡るSLもおか。SLはもう1台、1933年製のC12形66号機もある

 SLもおかは汽笛を鳴らし、下館(しもだて)駅1番線ホームを出発した。家族連れが多く、興奮して歓声を上げる子どもの姿が微笑(ほほえ)ましい。1946年製の蒸気機関車C11形325号機が引くのは国鉄時代の50系客車3両。開閉式窓と天井扇風機(冷房なし)が特徴の旧式車両は、昭和レトロな趣がある。

 「カタタンタンタン」とレールとの摩擦音を響かせながら列車は進む。開け放しの窓から黒煙と(すす)が時々入ってくるものの、心地のいい夏風がそれを忘れさせる。

 住宅地を過ぎて車窓に広がるのは五行(ごぎょう)川、小貝(こかい)川流域の水田地帯。田んぼの緑に時折ネギ畑の青、麦畑の黄色が、色違いの布をはぎ合わせたように交ざる。水田の真ん中に残る、こんもりした小さな森に、懐かしい音楽バンド・はっぴいえんどの「夏なんです」の歌詞を思い出した。「鎮守(ちんじゅ)の森は ふかみどり……」

 「絶景」は表現が大げさとしても、都市に暮らす乗客はどこか懐かしさを感じるだろう。線路沿いでは、母と幼子が、年配の夫婦が、手を止めた農家の人が、手を振ってくれる。SLを狙ってカメラや携帯電話のレンズを向ける人も多い。こうした風景にこそ、SLの旅の非日常感がある気がする。

SLの形を模した真岡駅に停車中のSLもおか
SLの形を模した真岡駅に停車中のSLもおか
転車台で方向転換するSL
転車台で方向転換するSL

 機関車の形を模した駅舎の真岡駅からどっと乗り込んできた団体客は、益子焼(ましこやき)の町の益子駅で降りていった。北真岡駅から続く有名な桜並木はこの時期、緑の葉を茂らせていた。列車は林を抜け、橋を渡る。茂木(もてぎ)駅手前では右手に道の駅が見え、その広場でひときわたくさんの人が手を振っていた。

 出発の約1時間30分後、終点の茂木駅に着いた。降車後はホームから、転車台で方向転換するSLを見学できる。1日1往復の同列車は、約2時間後に折り返しが出発するので、近くの道の駅で昼食をとって復路のSLに乗るか、その前の普通列車で益子の焼き物店や、真岡駅前で9600形SLを展示するSLキューロク館に向かってもいい。

 文/福崎圭介

運行区間/下館―茂木
運行日/土・日曜、祝日(8月13・14日運行、年末年始運休)
料金/運賃(下館―茂木は1030円)+SL整理券500円
予約方法/乗車日の1か月前の11時からJR東日本みどりの窓口・びゅうプラザ、真岡・益子・茂木駅でSL整理券を販売(下館駅では当日販売)
問い合わせ/真岡鐵道 真岡駅 電話0285・84・2911

(月刊「旅行読売」2019年8月号から)

◆月刊「旅行読売」
 1966年創刊。「読んで楽しく、行って役立つ旅の情報誌」がモットー。最新号や臨時増刊などの案内はこちら

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686048 0 たびよみ 2019/07/18 05:20:00 2019/07/18 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190711-OYT8I50048-T.jpg?type=thumbnail

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