アートの可能性探る

国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」芸術監督・津田大介さん(44)

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あいちトリエンナーレの芸術監督に就任した津田さん
あいちトリエンナーレの芸術監督に就任した津田さん

 「アートの裾野を広げて、都市型の新しい芸術祭のモデルにしたい」

 あいちトリエンナーレの芸術監督に就いた昨夏、フリージャーナリストから、全く異なる分野に飛び込んだ。開催テーマは「じょうの時代」。情報があふれるインターネット社会を直視してのことだ。アートの可能性を探りたいという。

 開催される2019年は、新しい天皇陛下が即位して年号が改められ、翌年には東京五輪が控える。「時代がどう変わるか分からないからこそ、普遍性があり、幅広く捉えられるテーマを意識した。五輪に負けないよう、アートの力をしっかり見せたい」と意欲にあふれている。

 大学時代から、ネット関連の雑誌を中心に執筆を始め、フリーで仕事をしてきた。唯一のルールは「新規の仕事は、ギャラがどんなに安くても断らない」。新しい仕事と向き合うことで知識量も増え、自分の枠も広がり、出会った人とのつながりも生まれる。

 転機は11年の東日本大震災。「震災で仕事が全てキャンセルとなり、突然、ぽっかりと時間が生まれた。被災地で何かしようにもどうにもならない。でも何かしたい」。ツイッターで、震災関連の最新情報や東京電力の記者会見の要約など、ほぼ24時間体制で1か月間近く流し続けた。

 震災の2年前、自著でツイッターが災害時などで果たす役割と可能性を論じた。そして、震災の発生。「携帯電話がつながらない中、ツイッターで発信されたSOSが多かった。情報を発信し続けたことで、自分がメディアになれた」と情報発信の重要性を実感した。

 11年6月、福島県いわき市の豊間海岸にあるコンビニで、音楽ライブを企画した。津波被害で骨組みになった建物を前に、ツイッターで観客を集めた。約100人がバスツアーで現地に入り、被災地のがれき除去ボランティアもして、被災者と一緒にライブも楽しんだ。情報発信だけでなく、イベントの開催が実を結んだ。

 「地域の復興には、まず心が復興しないと難しい。そのために芸術がとても大切な役割を担うことを学んだ」。以後、東北のアートプロジェクトを広報分野でサポートしてきた。「アートはジャーナリズムに近い。人に何かを気づかせ、行動させる原動力になる」

 あいちトリエンナーレでは、最新のデジタル技術を駆使して、多くの人に関心を持ってもらい、他の芸術祭との連携も狙う。「今夏、北川フラムさんが総合ディレクターを務める『大地の芸術祭』(新潟県・越後妻有地域)で、現場のノウハウを学びたい」という。

 19年夏の開幕に向けて、この1年が正念場だ。(八木さゆり)

 ◇

 東京都出身。早稲田大社会科学部卒。現在は同大文学学術院教授のほか、テレビやラジオでキャスターやコメンテーターも務める。主な著書に「Twitter社会論」「メディアの仕組み」など。

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 あいちトリエンナーレ:愛知県で2010年から、3年に1度開催される国内最大級の現代アートの祭典。現代美術と合わせて、演劇やオペラなどの舞台芸術を展開してきた。街角でもアートを楽しめるように工夫されている。

無断転載禁止
3241 0 ひゅーまん愛知 2018/01/16 05:00:00 2018/01/16 05:00:00 ひゅーまん:来夏に開幕するあいちトリエンナーレの芸術監督に就任した津田大介さん=八木さゆり撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180116-OYTAI50005-1.jpg?type=thumbnail

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