県警の検視立会医 細川秀一さん 62(名古屋市)

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 3000人以上の死 見つめて

 

 「検視は最後に受ける医療。亡くなった時の状況を正確に記録してあげたい。それが医師としての使命だと思っている」

 死因がはっきりわからない遺体が発見されると、昼夜を問わず、現場や警察署に出向いて検視に立ち会う。死因や死亡推定時刻、事件性の有無を判断する重要な役割だ。昨年は名古屋市西区の女性が殺害され、滋賀県の山林で遺体が見つかった事件を担当するなど年間数百件に上る検視に関わる。

 内科の開業医だった父親の背中を見て育った。寒い冬の真夜中でも、患者に呼ばれると自転車で駆けつけた。幼心に尊敬の念を抱くようになり、自然と医師の道に進んだ。「同じ内科だと、父親を超えることはできない」と思い、大学を卒業後、心臓血管外科医に。名古屋第二赤十字病院(名古屋市昭和区)などで経験を積み、1995年に「細川外科クリニック」(同市中村区)を開業し、地域住民の健康を支えている。

 「開院したら、自分の時間がなくなると思え」と父親から言われた通り、多忙な日々だ。開業当初は大きな病院でもないのに、けがや病気の救急搬送を年間600~700件受け入れた。約10年後、「誰かがやらないといけないから」と検視への協力を始めた。「毎日忙しく働いている方が、かえってストレスがない」とほほ笑む。

 法医学の専門知識を学んだ警察官とともに、傷や腐敗の状況を細部まで調べて死因などを判断する。部屋に残された本や酒、レシートなどから生活状況に目をこらし、「どんな最期を迎えたのか」と推しはかる。これまでに3000人以上の死を見つめてきた。「特に子どもの遺体は、見ていてとてもつらくなる。検視が終わってから何日も悲しい気持ちを引きずってしまう」。検視の仕事ではないが遺族を気遣い、時には傷口などを縫い合わせ、元の姿にできる限り近づけて遺体を返す。

 「5年ほど前から、高齢者の孤独死が増えた。誰にもみとられず、数か月たってから見つかることもある。死にたくて死んだ人なんてあまりいない」と話す。

 昨年は過去最多の462人の死と向き合った。災害の被災者への心身のケアなどの重要性を訴える講演にも力を注ぐ。「検視は正確さや的確な判断、スピードが求められる」と強調。「検視を行う医師も高齢化が進んでいる。自分の経験を伝え、後継者を少しでも増やしたい」と大きな責務を感じている。(岡花拓也)

 

 ◇

 

 2人の息子も医師を務める。クリニックの診察時間外にかかってきた電話は、自分の携帯電話に転送し、警察の依頼や患者の相談に24時間対応している。2011年の東日本大震災では、発生から1週間後に被災地を訪れ、検視や治療に従事した。趣味はゴルフとドライブだが、急な呼び出しに対応できるよう近場に出かける。

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16660 0 ひゅーまん愛知 2018/03/26 05:00:00 2018/03/26 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180413-OYTAI50026-T.jpg?type=thumbnail

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