スペイン語医療通訳 加藤照美さん 63(一宮市)

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自宅で医療通訳の準備をする加藤さん
自宅で医療通訳の準備をする加藤さん

 ◇言葉通じる患者に安心

 

 「エ・ベニード・コモ・ス・インテルプレテ……(あなたの通訳として来ていますから、何でも言ってくださいね)」

 通訳をする病院で、日系ペルー人やメキシコ人など、スペイン語が母国語の患者に会うと、リラックスして医師と話ができるように言葉をかけている。

 大学時代からスペイン語が好きで、25歳で結婚してからも2人の子育てをしながら、通訳の仕事を続けてきた。転機になったのは2011年。県が医療通訳養成研修コースを開設したことを知り、「挑戦してみよう」と受講し、県などでつくる「あいち医療通訳システム推進協議会」(名古屋市)の認定試験を経て、同協会所属のスペイン語医療通訳になった。

 月平均2、3回、県内の病院からの依頼で、心臓疾患や脳腫瘍、エイズなどの病気を抱える外国人と医師との橋渡しをしている。

 患者の病気について事前に勉強して診察に立ち会うが、通訳をする以上に、母国との医療事情や生活習慣などの違いが壁になることが多い。日常会話がある程度できても、病院で治療を受ける際、不安を抱える患者が多いという。

 15年に名古屋市内の病院で担当した、交通事故で頭部などにけがをしてリハビリ中の日系ペルー人の男性から「これから医師の診察を受けますが、私の証人になってもらうのでメモをとってください」と言われ、緊張が走った。回復が思わしくなく、不安が募り、医師とコミュニケーションがうまくとれない不満がたまっていることがわかるまで、3時間を要した。

 患者と信頼関係が築けたと思っても、患者の行方がわからなくなったり、帰国してしまったりすることもあり、やるせない気持ちに陥ることもよくある。

 通訳の報酬は2時間約3000円。事前の準備や当日の苦労を考えるとハードな仕事だ。それでも「自分が必要とされるならうれしい。人の役に立っているという充実感が得られる」と目を輝かせる。

 医療通訳は専門性が高く、「毎回、その難しさを痛感する」と言う。しかし、患者や医師から感謝の言葉をかけられたときの喜びはひとしお。このため、通訳の仕事をした病院から手術や麻酔などに関する説明書をスペイン語に翻訳する仕事も引き受けている。

 通訳の仕事がないときはスペイン語の映画やニュース、ドラマなどに親しむようにしている。「スペイン語は奥が深く、勉強することがいっぱい。年々、いろいろな場面で専門的な通訳が必要とされているので、今後も医療通訳として貢献できればうれしい」と笑顔をみせる。(大隅清司)

     ◇

 南山大学外国語学部でスペイン語を学び、在学中、スペイン・サラマンカ大学に1年間留学し、通訳案内士の資格を持つ。名古屋市内の小中学校や技術系企業、裁判所などでのスペイン語通訳を約20年間務めた。35歳から始めたピアノが趣味。現在、夫と2人暮らし。2人の子どもは独立し、3人の孫がいる。

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47036 0 ひゅーまん愛知 2019/01/14 05:00:00 2019/01/21 13:34:40 自宅で医療通訳の準備をする加藤さん(一宮市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190117-OYTAI50005-T.jpg?type=thumbnail

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