<2>認知障害 危険もたらす

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■高速道路逆走

 「進入禁止です。戻ってください!」

 昨年4月3日午前5時過ぎ、名古屋高速・笠寺出口(名古屋市南区)に設置されたスピーカーが、けたたましく鳴り響いた。軽乗用車が高速出口のランプを上がって本線に誤進入し、逆走を始めた。県警本部には「高速で車とすれ違った」との110番が相次いだ。

 軽乗用車は、事故を起こす前に約2キロ先の路肩で自ら止まった。駆けつけた県警高速隊員が窓越しに声を掛けると、ドライバーの70歳代の男性は「間違えてしまって、どうしたらいいのか分からなくなった」と困惑した表情で答えた。

 男性は家族の知らないうちに三河地方の自宅を出てきたという。行き先を尋ねると、「岐阜に友達が住んでいて何となく行こうかなと……」と答えるが、友人宅の住所を聞いても「えっと……」と言葉に詰まるばかり。こんなに朝早く訪ねるというのもおかしかった。

 隊員は男性の受け答えから「認知症の疑いがある」と判断。男性を保護し、迎えに来た家族に引き渡した。

■信号もわからず

 県内で昨年1年間に死亡事故を起こした75歳以上のドライバーは22人。22人が直近に受けた認知機能検査の結果を県警が調べたところ、1人が「認知症のおそれ」、8人が「認知機能低下のおそれ」と判定されていたことがわかった。

 「認知症のおそれ」とされた男性は車で自動車専用道路を逆走し、対向車と正面衝突して死亡。「認知機能低下のおそれ」とされた8人は、赤信号を無視して別の車とぶつかり相手ドライバーを死なせたり、アクセルとブレーキを踏み間違えて駐車場の柱に激突して亡くなったりしていた。

 県警交通総務課の高木宏課長補佐は「認知機能が低下すると、『赤信号で止まる』などの交通ルールを理解できなくなったり、自分が運転しているという自覚さえなくなったりすることがある」と話す。

■帰ってこられない

 津島市城山町で石材店を営む男性(55)は2013年5月、認知症の父親(84)を津島署に連れて行き、免許を返納させた。

 父親は10年ほど前から、食事をしたばかりなのに、「ご飯はまだ?」と尋ねたり、仕事で墓石に間違った文字を彫ったりするようになった。

 男性は当初、「運転には問題ない」と気に留めなかった。しかし、しばらくして、父親が車で出掛けたまま一晩中、帰ってこなくなり大騒ぎに。携帯電話で居場所を尋ねると、父親は「安城にいる」と答えるが、家に戻るよう何度言っても、「いまは弥富だ」「三重まで来た」と帰ってこられない。結局、自宅から約40キロも離れた碧南署で保護されたが、「もしかしたら一晩中寝ずに運転していたかもしれない」と思うとぞっとした。

 男性はすぐに車を実家から自宅に移し、父親が乗れないようにした。「人を傷つけてからでは遅い。無理やりにでも車と免許証を取り上げるしかなかった」。その判断に間違いはなかったと信じている。

 

<運転時の認知障害を早期発見するための主な項目>

・車のキーや免許証などを探し回る

・通い慣れた道順をすぐに思い出せない

・車庫入れで壁などに車体をこすりやすくなった

・駐車場所の枠内に止めるのが難しくなった

・急発進や急ブレーキ、急ハンドルなど運転が荒くなったと言われるようになった

(鳥取大医学部・浦上克哉教授への取材による)

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