ネット不正送金急増 4か月被害144件 過去の年間最多上回る
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インターネットバンキングで、口座から預金が不正に送金される被害が県内で急増している。金融機関を装って携帯電話にSMS(ショート・メッセージ・サービス)を送って偽サイトに誘導し、送金に必要な情報を入力させる「スミッシング」と呼ばれる手口で、今年1~4月の被害は144件(計約6000万円)と、既に過去の年間最多件数を上回っている。
岐阜県内のコンサルティング業の男性(32)は、昨年9月、口座を持つ銀行名が書かれ、「カード・通帳の利用停止、再開のお手続きをしてください」などと促すSMSを受信した。
記載されたアドレスを開き、指示通りにIDやパスワードを入力すると、約500万円が別の口座に送金され、気づいた時には残高が約200円に。男性は「誰でも被害者になる可能性があると感じた」と話す。
県警サイバー犯罪対策課によると、県内の不正送金被害は、2014年の121件をピークに、18年は9件まで減少。だが、昨年は57件まで増え、被害総額も約1億1900万円と4年ぶりに1億円を超えた。
金融機関は対策として、利用時にIDとパスワードに加えて、有効時間のある「ワンタイムパスワード」を入力させる2段階認証で本人確認をしているが、詐欺グループはこの対策を巧みにすり抜けている。
手口はこうだ。本物そっくりの偽サイトでIDとパスワードを盗むと同時に正規サイトに入力。続いて偽サイトでワンタイムパスワードを入力させ、盗んだワンタイムパスワードの有効中に預金を引き出すという。
同様の手法でログインに必要な、店番号と口座番号、キャッシュカードの暗証番号を入力させたり、アマゾンなど通販会社を装った偽サイトに誘導し、「本人確認に必要」とだましたりして、決済に利用する金融機関などの情報を盗み取る手口も確認されているという。
<突然届いたSMS疑って>
不正送金の被害を防ぐには、「スマホに突然届いたSMSは全て偽物だと思うことが大切」と県警生活安全総務課は訴える。
同課は、〈1〉送信元の電話番号が正規のものか検索して確認する〈2〉送り主の金融機関などに送信の有無を尋ねる〈3〉SMSに記載されたリンクは開かず、ブックマークに登録した先や検索サイトから接続する――ことを求めている。
最新の手口や詐欺メールの文面などは、フィッシング対策協議会(東京)のホームページ(https://www.antiphishing.jp)でも公開されている。