弥富中3刺殺 少年院送致、年齢を考慮 家裁、将来的な更生重視

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 弥富市の中3刺殺事件で、加害少年(15)を第1種(旧初等・中等)少年院送致とした名古屋家裁の23日の決定。成人と同様に刑事裁判を受けさせるため検察官に送致(逆送)する選択肢もあったが、16歳未満を逆送するのは珍しく、少年の将来的な更生を重視し、「原則」に従って保護処分とした。

 成績や進路についての不安感、家族に対して抱く不快感などで次第に募る 鬱憤うっぷん 。修学旅行では持参禁止だったスマートフォンを先生に没収された。決定は、思い込みから「強い疎外感や絶望感を抱いて自棄的な気分になり」、楽しそうな被害生徒と自分を比べ、怒りが湧いたのが動機だとした。

 学校で同級生に突然刺され、恐怖や苦痛を感じながら、14歳で亡くなった被害生徒。後藤隆裁判長は「検察官送致も検討されるべきだ」とした一方で、少年が鑑定留置で発達障害の「自閉スペクトラム症」と分かり、他人の行動の理由などを読み取るのが苦手なことが動機に影響したと判断。成育環境や年齢を考慮し、時間をかけて専門家が少年とその家族を援助する必要があると結論づけた。

 被害生徒の遺族代理人は取材に応じていないが、決定によると、遺族側は刑事処分を強く望んでいたという。

 現行少年法では16歳以上の場合、故意に被害者を死亡させた事件は原則逆送され、起訴されれば成人と同様、刑事裁判を受けることになる。

 ただ、最高裁によると、刑事処分の対象が14歳以上に引き下げられた2001年4月以降、22年1月までに殺人(自殺関与などを含む)の非行事実で家裁送致され、処分が決まった14~15歳は39人いるが、逆送されたのはわずか3人。捜査関係者は「年齢の先例もあり、少年院送致としたのではないか」とみている。

 弥富市の中3刺殺事件で、名古屋家裁による少年審判の決定要旨は次の通り。

 【主文】

 少年を第1種少年院に送致する。

 【処遇の理由】

 本件は、当時14歳の少年が自身の通学する中学校で、被害者の腹部を刃体の長さ約21・5センチの包丁で1回突き刺して殺害した殺人及び銃刀法違反の事案。計画的に確定的な殺意をもって実行し、被害者の死亡という何より重い結果を生じさせた。本来安全であるはずの学校で同級生から突如刺されるという衝撃的な出来事に遭い、恐怖や苦痛を感じながら、14歳という若さで前途を断たれた被害者の無念さは察するに余りある。遺族の悲しみは甚大で処罰感情は厳しく、刑事処分を強く望んでいる。

 少年は2020年夏頃から、他人にどう見られているか過度に気になるようになり、中学3年生になると、成績や進路選択にも不安感等を強め、家庭内でも家族の態度等に不快感を抱くなど次第に鬱憤(うっぷん)を募らせていた。

 21年11月の修学旅行中、禁止されていたスマートフォンを持参し、教諭に発覚して取り上げられたことで、自分が周囲から信用されていないせいで告げ口をされたのではないかなどと思い込んで強い疎外感や絶望感を抱いて自棄的な気分になり、自身を取り巻くつらい状況を変えたいと思っていた折に、かねてより嫌がらせをしてくると感じて嫌っていた被害者が楽しそうな様子でいるのを見て、自身の状況と比較して怒りが湧き、同人を殺せば警察に捕まり、つらい現状から切り離されると考えて殺害を決意した。

 動機の形成過程には、少年の発達上の特性として鑑定結果により認められる自閉スペクトラム症に由来する〈1〉社会状況の認知困難さ(他者の行動の理由や背景を読み取ったり、社会常識から推論したりする力の弱さ)と、〈2〉実行機能の障害(思考の柔軟性と抑制の能力の乏しさ)が顕著に影響していると考えられる。しかし、理不尽かつ身勝手な動機で尊い生命を奪った少年の意思決定には、動機の形成過程に発達上の特性が影響していると認められることを考慮しても、強い非難を免れない。

 本件は極めて重大な事案であり、その罪質に照らせば、検察官送致も検討されるべきだ。もっとも、動機の形成過程には少年の発達上の特性が顕著に影響しており、そのような特性に対しては、これまで少年の置かれた家庭環境、成育環境や行動傾向ゆえに問題として表面化しにくかったことから、適切な養育を受けていないところが認められ、本件が必ずしも深い非行性に基づくものとはいえない。加えて、行為時14歳であるという少年の年齢を考えると、再非行防止の観点からも、少年の特性に理解のある指導者による系統的で専門的な教育によることが不可欠であるから、少年院での矯正教育が相当である。

 収容中から十分に時間をかけて、専門家による少年及びその家族の援助体制を構築する必要があることなどを踏まえると、収容期間は5年程度の相当長期間を要すると考えられるので、相当長期の処遇勧告を付することとする。

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