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    住みやすい社会へ 聴覚障害者に配慮を

    手話秋田普及センター代表理事 中島奈津子さん42(秋田市)

    • 「ありがとう」の手話
      「ありがとう」の手話

     夫や知人の医師とともに一般社団法人「手話秋田普及センター」を2015年8月に設立した。多くの人に、手話や聴覚障害への理解を深めてもらおうと、北都銀行の協力を得て県内の支店を巡回し、ロビー展を開いている。

     現在は、11店舗目となる秋田市の新屋支店で開催中で、3月1日まで、手話の表現をイラストで示したポスターを掲示し、県内の聴覚障害者の支援団体などを紹介している。「聴覚障害は、外見からは気づいてもらえないこともある。周囲とのコミュニケーションに悩む人も多いんです」と、聴覚障害者の現状を説明する。

     手話が、大切なコミュニケーション手段だと認識したのは高校生の時だ。法事で集まった親戚の中に、聴覚障害のある人がいた。手話で何か言われたが、理解できなかった。それ以来、どこかで学びたいと思い続けていたところ、20歳代の会社員だった頃、友人から手話サークルを紹介され、2年ほど通った。

     やがて結婚し、長女を出産。長女は先天性の難聴だった。手話を使って子育てをする中で、周囲に手話を理解できる人がほとんど見当たらないことを、あらためて実感した。街中で長女と手話でやりとりしていると、好奇の目を向けられることもあった。公共交通を利用しても、耳の不自由な人に向けた視覚的情報が少なかった。長女の小学校入学を機に、手話や聴覚障害を理解してもらい、手話が広く使われる環境を整えようと同センターを設立した。

     まず、取り組んだのが、簡単な手話の表現をイラストで紹介するカレンダーの作製だ。イラストは自分で描いた。3年目となる18年版は1200部作製し、県内の小中学校や図書館、病院などに無料で配布した。また、手話で「ありがとう」と感謝を伝える様子のイラストをあしらった切手シートなども作り、ホームページを通じて販売している。

     「聴覚障害者への配慮ができれば、みんなが住みやすい社会につながる」。そんな思いから、昨年は秋田市内で一般向けの手話の講習会を4回開いた。聴覚障害者を観光地で案内する時や、災害時に情報伝達する時など様々な場面で生かしてほしいと願う。

     センターの活動を続ける中で、病院の窓口で簡単な手話ができる職員が多くなったといった声が寄せられ、手応えを感じられるようになってきた。手話に関するカレンダーを配布する取り組みは、県が表彰する今年度の「バリアフリー推進賞」に選ばれた。これからも講演会や勉強会などの活動に力を入れる。「一年一年、積極的に発信しながら、少しずつ理解を広げる取り組みを続けていきたいですね」

    (小野仁)

    2018年02月26日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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