ふるさとの山を描き続けた 潟保卓雄さん67(由利本荘市)

鳥海山は自然が芸術の 宝庫と教えてくれた

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

潟保卓雄(由利本荘市西目町のアトリエで)
潟保卓雄(由利本荘市西目町のアトリエで)

 最近描いたのは空から見下ろした鳥海山の油彩画で気品と威厳に満ちている。カレンダーを制作するために山を東西南北360度の全方角からぐるりと描いたスケッチは5年間で850枚以上に上る。

 「鳥海山に通うなかで、草花の美しさに驚いた。鳥海山は、自然が芸術の宝庫と教えてくれた」と話す。自宅近くの野山の花々や旬の魚なども描いており、「魚の姿も芸術だと気づいた」という。

 ふるさとの山の四季折々を油彩や水彩で精力的に描き続ける鳥海山の風景画の第一人者。現在、1929年創立の団体で、全国の画家らで作る「第一美術協会」(千葉)の県支部長を務めている。

 絵を始めたのは大手メーカーの地元工場に就職し、千葉県内の研究所勤務となった20代の頃。26歳で帰郷した時に、父親がたまたま公民館の油絵教室に通っていて、「俺もやるか」と思い立った。

 40歳目前の1991年に、同協会の第一美術展に初出品し入選した。「評価されて驚くと同時にもっとうまくなりたいと思った」。由利本荘市出身で全国各地の風景を描き続ける洋画家の五島まさをさん(神奈川県在住)に弟子入りし、色彩や構図を学んだ。

 にかほ市の海辺で生まれ育ち、釣り好きなこともあって、当初は海の風景を描いた。鳥海山は、地元の画家が題材にすることが多く、「同じことはしたくない」とあまり描かなかった。

 鳥海山を描くきっかけは、次女が通う高校のテニス部で開かれた父母会の懇親会。鳥海山が話題になり、何げなく、「裏から見た鳥海山もきれい」と言うと、別の参加者から、「そっちが裏だろ」と返され、場が凍り付いてしまった。

 それまで自分が住む西目町から眺める鳥海山が一番だと思っていたが、山に表も裏もなく、思い入れは誰もが強いのだと実感。山の様々な表情を知ってもらおうと、360度を10度区切りで描いて、5年間シリーズ化する計画を思いついた。定年退職後の2013年から描き始め、14年から18年まで「鳥海山方位360度カレンダー」として発表した。要望が多く、カレンダーは来年も制作する予定だ。

 5年間分を作るまでに「山」もあった。三つ目のカレンダーが完成した16年、肺がんが見つかった。手術を行い、抗がん剤治療を続けた。だが、病院の窓から見える鳥海山が素晴らしかったこともあり、17、18年分も制作することができた。「山に励まされ、闘病を乗り切れた」と感謝する。

 来年には鳥海山の作品を集めた展示会を開催し、画集も出版する予定だ。ほぼ全ての方位を描き終え、今後は、自然は芸術の宝庫という鳥海山の「教え」を原点に、自然の音、におい、風などが伝わるような題材の作品に挑みたいと考えている。

(永山太一)

無断転載禁止
41408 0 ことばの肖像 2018/09/18 05:00:00 2018/09/18 05:00:00 潟保卓雄(由利本荘市西目町のアトリエで) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180918-OYTAI50000-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

一緒に読もう新聞コンクール

新着クーポン

NEW
参考画像
800円650円
NEW
参考画像
ご宿泊のお客様にコーヒー1杯サービス
NEW
参考画像
2000円1800円
NEW
参考画像
1100円550円
NEW
参考画像
790円720円

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
挑むKANSAI
読売新聞社からのお知らせ