酒米の実り《下》 新品種 山田錦に挑む

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秋田酒121号で作られた日本酒を味見する湯沢市酒米研究会のメンバーら(4日、湯沢市内で)
秋田酒121号で作られた日本酒を味見する湯沢市酒米研究会のメンバーら(4日、湯沢市内で)
県農業試験場の水田で新品種の試験栽培が繰り返されている(8月17日、秋田市内で)
県農業試験場の水田で新品種の試験栽培が繰り返されている(8月17日、秋田市内で)

 湯沢市材木町の湯沢グランドホテルに4日夜、1本の一升瓶が持ち込まれた。昨秋に収穫された県の新品種「秋田酒121号」が酒蔵で初めて試験的に醸造されたのだ。この日、新品種の栽培を担った「湯沢市酒米研究会」の情報交換会で試飲用として特別に提供された。

 口に含むと口当たりがよく奥行きのある味わい。同研究会の農家らから、「これは飲みやすい」「まろやかで優しい味」などと感想が寄せられ、好評だった。

 広島県で毎年開催される全国新酒鑑評会で、多くの酒蔵に使われるのが「山田錦」。膨らみがあり、ふくよかな味わいになる優良品種だ。穂が実るのが遅く、穂が垂れる前に降雪の可能性がある県内ではほとんど栽培されていない。

 全国各地で山田錦を追い越す酒米の品種開発を目指してしのぎを削る。地元で栽培でき、気候や土地にあった山田錦クラスの酒米が開発されれば、さらに良質な酒造りが可能になり、農家の所得増にもつながる。

 2001年に品種改良された県内の主力品種「秋田酒こまち」はきれいな味わいになると評判だが、山田錦ほど芳醇ほうじゅんな口当たりにならないことが長く課題とされてきた。

 今、県内の酒蔵が「山田錦を超える可能性がある」とこぞって期待を寄せているのが、秋田酒121号だ。

 県農業試験場が2010年に山田錦を母に持つ「秋系酒718」と、県内で品種改良した「美郷錦」を交配。同試験場の高橋竜一主任研究員(42)らが17粒の種から選抜を繰り返し、選抜の過程で、これまでの酒米よりもふっくらとした味わいになると高い評価を得た。今年6月には品種登録の出願にこぎつけた。近く新しい名前が付けられる。

 県は昨年にも、軽快な後味が特徴の新品種「一穂積」の品種登録を出願している。

 山田錦と生産が全国で2番目の「五百万石」を両親にもつ「越淡麗」と、秋田酒こまちをかけ合わせたもので、県総合食品研究センター醸造試験場の大野剛主任研究員は「今までの品種にはなかった味わいの酒ができる」と期待を寄せる。

 両品種とも試験栽培が繰り返され、正式に品種登録されるまでにはあと数年かかる見通しだ。

 新品種2種類の栽培を担う湯沢市酒米研究会は1951年に発足し、県内の酒米の60%を生産するなど県内の日本酒業界を支えてきた。

 市内の稲作農家約220軒が会員で、同研究会を代表して2種類を試験的に栽培する農家の菅諭志さん(54)は今年、試験醸造用のために、一穂積を7000平方メートル、秋田酒121号を9000平方メートルに拡大した。順調に稲刈りが終われば、今年はそれぞれ県内の複数の酒蔵で試験醸造される予定だ。

 菅さんは「想像よりもおいしい。山田錦を超え、秋田が誇れる酒米に育ってくれれば」と期待を寄せる。

(この連載は山田佳代、桜井詠巳が担当しました)

無断転載禁止
40301 0 美酒のみなもと 2018/09/07 05:00:00 2018/09/07 05:00:00 秋田酒121号で作られた日本酒を味見する湯沢市酒米研究会のメンバーら(4日午後7時頃、湯沢市内で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180907-OYTAI50009-T.jpg?type=thumbnail

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