現場は今《中》 地域交通網確保が急務

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上小阿仁村移送サービス協会が展開する有償送迎サービス(4日)
上小阿仁村移送サービス協会が展開する有償送迎サービス(4日)

 住民生活を支えてきた県内のバス路線の系統数はこの10年で半減した。各自治体は、住民の共助組織による送迎サービスの導入や、コミュニティーバス運行などで代替手段を確保しているが、空白地帯は広がりつつある。

 約10年前に五城目町方面への路線バスが廃止され、北秋田市方面の2系統が存続する上小阿仁村。地元のNPO法人「上小阿仁村移送サービス協会」が、自家用車による有償送迎サービスを展開し、生活の「足」を守っている。

 村では、県内最悪のペースで人口減が進む。同協会は、住民の「共助」を目的に設立され、住民が運転手を務め、高齢者を中心に買い物や通院などで交通手段を持たない人たちを送迎している。利用者の自宅前に車が止まるなど、小回りの利いたサービスが売り。運賃は、移動距離1キロの単価(80円)を基に算定。例えば、北秋田市鷹巣までは往復2600円、秋田市内は同5000円などとなっている。

 萩野芳紀・同協会理事長は「バスよりは高額だが、必要な時に、行きたいところへ行けるという安心感を提供している」と語る。

 人口減のあおりを受け、県内の路線バスの系統数は2008年には583だったのが、採算が合わないことなどを理由にバス事業者の路線撤退が相次ぎ、17年には半数以下の283まで減った。採算も厳しく、この75%に当たる212系統は、燃料価格の高止まりや乗客数の減少で赤字を出しており、「いつ廃止の決断に踏み切ってもおかしくない」(バス事業者幹部)状態だ。

 県によると、県内で独自のコミュニティー交通網がある自治体は、東成瀬村を除く24市町村。ただ、運行する便数や区間が需要を満たしていなかったり、前日までに予約が必要だったりして、「かゆいところに手が届く」サービスを実現するには課題も多い。

 県内は“クルマ社会”と呼ばれるほど、マイカー利用が中心だ。路線バスを利用する人は、通学の生徒たちや、運転免許を持たない高齢者など一部に限られている。このため、路線バスが廃止されても、維持費がかさむコミュニティー交通網を拡充させることについては、二の足を踏む自治体も少なくない。

 人口減に歯止めがかかる見込みはなく、今後もバス路線の廃止は避けられそうにない。「現行のバス網は将来的に維持できないという現実を直視し、地域の実態に合った交通手段を確保する方策を、各自治体が早急に打ち出すべきだ」。地域交通に詳しい岩手県立大の宇佐美誠史准教授(交通計画学)は、そう語る。

無断転載禁止
56325 0 人口減秋田 2018/12/25 05:00:00 2018/12/25 05:00:00 小林さん(右)を車に迎え入れる「上小阿仁村移送サービス協会」の畠山さん(12月4日午前6時58分、秋田市で)=佐藤亮撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181225-OYTAI50010-T.jpg?type=thumbnail

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