街づくり、観光誘客に効果

《1》 こまち 平成を疾走

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県内視察を終え、こまちで岩手県へ向かわれた天皇、皇后両陛下(1997年10月3日、JR大曲駅で)=県広報広聴課提供
県内視察を終え、こまちで岩手県へ向かわれた天皇、皇后両陛下(1997年10月3日、JR大曲駅で)=県広報広聴課提供
2017年3月で開業20周年を迎え、秋田の観光、経済を牽引(けんいん)し続ける秋田新幹線
2017年3月で開業20周年を迎え、秋田の観光、経済を牽引(けんいん)し続ける秋田新幹線

 ◆ご来県時 乗車

 いくつもの日の丸の小旗が揺らめいた。JR大曲駅の周りには、大勢の県民の笑顔があった。

 1997年(平成9年)10月3日午前。地方事情視察のため、即位後に初めて県内を訪問した天皇、皇后両陛下が、次の目的地である岩手県へ出発された。この時、両陛下が利用されたのが、同年3月22日に開業した秋田新幹線「こまち」だ。

 「開業間もない秋田新幹線にとって、両陛下をお乗せしたことは象徴的な出来事だった」

 大曲駅長として両陛下をホームで見送った佐々木博行さん(69)は今も興奮を忘れていない。こまち開業を受け、7月に新駅舎が完成。周りには新たなホテルが建ち、飲食店なども相次ぎオープン。元気な街の様子を両陛下にご覧いただけたことが誇らしかった。

 こまちは両陛下を乗せ、岩手県境の山あいをくぐる「仙岩トンネル」を無事通過。輸送指令からの一報を受け、佐々木さんをはじめ十数人の駅員らは「よかった」「やったな」と笑顔で喜び合った。皆で、「観光、街づくりと新たな時代の幕開けだ」と確信した。

 ◆大曲の花火に一役

 こまちの開業によって秋田と東京が乗り換えなしでつながり、停車駅周辺など沿線地域に大きな観光誘客効果をもたらした。中でも武家屋敷通りなど江戸期の風情が漂う角館(仙北市)では、開業前の96年に140万人だった入り込み客数が、翌97年には218万人と急増。JRや自治体などの観光キャンペーンの効果も手伝い、昨年は253万人と順調に伸びている。

 田沢湖角館観光協会の青山慎一・事務局次長は「新幹線が止まることを売りにして、首都圏など大都市圏に向けた観光PRがやりやすくなった。観光客の間にリピーターが増え、口コミで認知度が高まるという好循環ができた」と喜ぶ。

 大仙市で毎年8月に行われる「大曲の花火」(全国花火競技大会)の観客動員数も、96年以前は40万~50万人だったが、新幹線を利用したツアー商品の開発が進められて増加し、2010年以降は70万~80万人で推移している。

 秋田新幹線は17年3月22日で開業20周年を迎え、秋田駅では記念のセレモニーが行われた。県外からの人の流れを呼び込む新幹線の効果を生かした新たな街づくりが同駅周辺でスタートした。西口では18年9月、県外からの高齢者の移住を促す「CCRC事業」に、北都銀行が着手。シニア向け分譲住宅や商業施設などを備えた地上17階建て複合ビルが20年秋に完成する予定だ。

 一方、東口では「スポーツ・健康」をテーマに、JRが18年7月、バスケットボールコート2面を備えたアリーナを着工。さらに首都圏など県外の大学、実業団のバスケチームの合宿を誘致するため同10月には宿泊施設の機能を持ったマンション建設も始めた。それぞれ19年冬、20年春の完成、利用開始を見込む。

 「『大動脈』である秋田新幹線の効果を、さらなる観光振興と、街の新たな発展につなげたい」とJRの菊地正・秋田支社長。ふるさとの期待を背負い、こまちは加速する。

(大塚健太郎)

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61403 0 次代へ 2019/01/01 05:00:00 2019/01/01 05:00:00 多くの関係者に囲まれながら、駅構内をご移動される天皇、皇后両陛下 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190107-OYTAI50004-T.jpg?type=thumbnail

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