県政の課題(2)

警察署再編 不安の声

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県政の課題(2)
県政の課題(2)
県警の警察署再編で4月1日から「幹部交番」となるにかほ署
県警の警察署再編で4月1日から「幹部交番」となるにかほ署

 「駐在さんは残ってくれるからまずよかった。でも何かあった時は大丈夫なのかねえ」――。日本海に面したにかほ市金浦地区。住民の女性(79)は浮かない表情を見せた。

 県警の警察署再編によって、市内の治安を守ってきたにかほ署が4月1日、由利本荘署に統合され、「幹部交番」に移行する。県警は統合後の由利本荘署は総勢約140人となり、これまで以上に手厚い態勢となるとしているが、住民の間では、交番への「格下げ」に不安の声も漏れる。

 市内の海岸にはこれまでに、北朝鮮から来たとみられる木造船の破片や、乗組員とみられる遺体も漂着している。隣の由利本荘市では2017年11月、「北朝鮮から来た」と話す男性ら8人が保護され、今もその衝撃は記憶に新しい。住民らの治安対策に寄せる関心は高い。

 県警の再編計画は、小規模署を統合し、重大事件や大規模災害の発生時への備えを強化する狙いだ。しかし、にかほ市民の間では、「30キロも離れた由利本荘署から駆けつけて間に合うのか」「1市につき1署がないのは困る」といった疑問や不安が交錯。住民団体が計画に反対する署名5850人分を集め、県警に再検討を求めた。

 県警は住民の不安解消に向けて、当初は「約20人規模」としていた幹部交番の態勢を現行の署と同規模の「約40人規模」とし、“実動部隊”である捜査、生活安全、交通の各係を維持することで修正を図り、住民を説得し、4月からの再編にこぎ着けた。

 警察署の再編は、2005年に森吉(北秋田市)、矢島(由利本荘市)、増田(横手市)の各署が幹部交番化するなどして以来、14年ぶり。近年、特殊詐欺やストーカー、配偶者に対する家庭内暴力(DV)など犯罪が多様化、複雑化し、捜査員を県外へ派遣する機会も増え、県警は限られた人員のやり繰りを迫られている。こうした状況下で、県警には「警察機能強化」が求められ、小規模署の統合再編は苦肉の策という側面もある。今後は男鹿、仙北の2署の再編統合についても引き続き検討が進められる。

 県内の刑法犯認知件数や人身交通事故件数はこの10年間で減少傾向にある。数字の上では治安が保たれているように見える。ただ、県警に寄せられる110番は3万件前後と横ばいの状態で、事件や事故、トラブルなどで県民が警察に対応を求めるニーズは変わらない。

 こうした状況から、町から警察署がなくなることで住民に与える影響は小さくない。にかほ署の幹部交番化についても、「今は平和かもしれねえが、油断はならねえ」などと、複雑な思いがくすぶっているのが現状だ。

 これまで続いてきた地域の警察機能を一度、再編統合すれば、元へ戻すことは困難だ。住民の生命、財産を守るのはもちろんだが、「肌で感じる不安」にも配慮しなければ、再編への理解は得られない。

(杉本和真)

506902 0 統一選2019 県政の課題 2019/03/26 05:00:00 2019/03/26 05:00:00 2019/03/26 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/03/20190326-OYTAI50000-T.jpg?type=thumbnail

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