1次医療高齢医師が維持常勤医不在通いで補う

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山下医院で診察にあたる大渕さん(左)。三種町から週に1回訪れ、藤里町の1次医療を担う
山下医院で診察にあたる大渕さん(左)。三種町から週に1回訪れ、藤里町の1次医療を担う

 地域の医療を支える「診療所」の存続が危ぶまれている。基幹病院でも医師が慢性的に不足する中、中山間地域の診療所では医師の高齢化や後継者不足、患者数の減少による経営の不安定化が問題となっている。1次医療の要である「まちの医師」をどう確保していくのか、知恵が試されている。(杉本和真)

■病診連携担う

 「変わりないかな。脈はいい具合だよ」「先生、最近、めまいがする」

 世界自然遺産・白神山地の麓、藤里町藤琴にある町内で唯一の診療所「山下医院」では、白髪の医師が、血圧の経過観察に訪れた80歳代の女性を診察していた。

 穏やかな表情で患者に応対するのは大渕宏道さん(75)。自身も「後期高齢者」だ。本来の勤務先である三種町の森岳温泉病院から週1回、藤里町を訪れ、同病院付属の山下医院で診察をする。主に、病気の初期治療や安定期の治療にあたり、専門的な治療や入院が必要な患者を適切な病院へ「つなぐ」役割も担う。

 旧山本組合総合病院で30年間にわたって院長を務めた経験もある大渕さん。診療所と病院が緊密に協力する「病診連携」の大切さを改めて痛感している。

■5地域で医師不在

 人口約3200人の藤里町に、常勤医は一人もいない。大渕さんと、もう1人の80歳代の医師が、週に1回ずつ勤務して町民の命と健康を守る。山下医院に通う70歳代女性は「歩いて来られる距離にあるから気軽に診察を受けられる。ここがなくなれば本当に困る」と切実な表情を浮かべた。

 県内には、藤里町のほかにも常勤医のいない地域がある。県が昨年2月現在でまとめたところ、八峰町の旧峰浜村、旧八森町や、横手市の旧山内村、湯沢市の旧皆瀬村の4地域が該当した。さらに、常勤医がいる診療所が一つしかないのは18地域、二つのみは14地域だった。

■事業承継も厳しく

 事業承継も厳しい状況だ。県医師会の2016年度の調査では、回答した377診療所のうち、院長の年齢が60歳以上の施設が208か所に上った。「継承の予定・めどがある」と回答したのは52か所(25%)にとどまり、「継承は困難・継承しない」「継承するかわからない」が約7割を占めた。

 人口減の影響で患者数も減り、新たな開業医の進出も見込めない。同じ調査で08年度以降に新規開設された診療所は計59か所。このうち27か所が秋田市内、11か所が大曲仙北地域で、鹿角地域や男鹿潟上南秋地域はゼロと偏在している。

 「旧町村部の体制維持が課題だ」。県平鹿地域振興局(横手市)で7月17日に開かれた今年初の「地域医療構想調整会議」で、県医務薬事課の伊藤淳一課長は指摘した。

 「今ある診療所がいつまでもつか。ある日、突然、町から医療機関がなくなるということだけは避けなくてはいけない」。八方塞がりの中、関係者の間で模索が続いている。

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720756 0 ホップの郷 2019/08/02 05:00:00 2019/08/02 05:00:00 2019/08/02 05:00:00 真剣な表情で診察する大渕医師(31日午前11時20分、藤里町藤琴で)=杉本和真撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/08/20190802-OYTAI50001-T.jpg?type=thumbnail

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