「パートナーシップ制度」利用進まず 暴露の懸念 支援が不足

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

性と人権ネットワークESTOが昨年開いた、LGBTQなどを学ぶ研修会。自殺予防対策に関する県の補助金を活用して開催した(ESTO提供)
性と人権ネットワークESTOが昨年開いた、LGBTQなどを学ぶ研修会。自殺予防対策に関する県の補助金を活用して開催した(ESTO提供)

 県内などで性的少数者の支援に取り組む団体「性と人権ネットワークESTO」の 真木まさき柾鷹まさたか 代表は、心と体の性が一致しないトランスジェンダーであることを隠していない。

 「それでも話したこともない相手から性的少数者に関する話題を突然ふられると、いったい誰から自分の情報を聞いたんだろう、と違和感をおぼえる」

 セクシュアリティー(性のあり方)は個人のプライバシーに関わる大切な情報だ。「性的少数者であることが勝手に広まると、職を失ったり、転居に追い込まれたりする。現に県内でも度々発生しており、恐怖心を抱え孤立を深める人もいる」と真木さんは指摘する。

 特に、本人の同意なく第三者に暴露する「アウティング」と呼ばれる行為は、「人を自殺に追い詰めてしまうくらい危険な行為だと理解してほしい」と真木さんは訴える。

 県や秋田市が今年度から導入した、性的少数者のカップルを公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」。導入から2か月近くたつが、県内の利用者は1組にとどまる。利用の壁になるのが、アウティングへの懸念だ。

 県はプライバシーに配慮するため、申請や証明書の交付で来庁する際、事前の希望があれば個室を用意したり、本人限定受取郵便による証明書交付を行ったりするなど、対策をとる。

 それでも、「アウティングされるかもという恐怖心は当然みんな強くある。自治体職員だから、といっても信用できるわけではない」と真木さん。個人情報のアウティングでどんなリスクを背負うのか、職員側も研修会などを積み重ね、意識を変えるしかないという。

 県内に住むレズビアンの女性も「家族にもカミングアウトしておらず、申請したという情報が漏れたらと思うと怖い」と打ち明ける。

 一方、証明書提示で利用できるサービスが少ないとも感じている。「秋田の現状では、メリットより申請のリスクの方が大きい」

 ESTOは制度の導入前に、県内在住の性的少数者からの要望を踏まえた意見書を県に提出。アウティング防止のほか、同性パートナーに企業の福利厚生制度を適用する働きかけや、性的少数者のカップルと同居する子どもらを家族と認定する「ファミリーシップ制度」の導入など、支援策の拡充を求めている。

 証明書を活用したサービスを提供する動きもある。秋田銀行では、性的少数者のカップルが一緒に申し込める住宅ローンの取り扱いを始めた。これまで連帯債務者の対象は配偶者や親子に限られていたが、証明書の提示でパートナーと住宅ローンを申し込める。

 県は今後、セミナー開催などを通じて、性的少数者に対する県民の理解を促進する一方、サービスの充実も目指す。真木さんは「同性カップルは、異性をパートナーとする人たちと同等の当たり前の存在。一人一人の意識が変わり、安心して暮らせる秋田に早くなってほしい」と話す。

 家族と同じ扱い 公営住宅入居

 県のあきたパートナーシップ宣誓証明制度は、自分たちがパートナー同士だとする宣誓書を提出すると、県から証明書が交付される。

 対象は、2人またはどちらかが性的少数者のカップル。どちらかが県内在住者であることも要件となる。

 証明書を提示すると、公立病院で面会時に家族と同等の扱いを受けられるほか、公営住宅の入居申し込みが可能になる。

 26日時点で県の制度の利用者はいないが、同様の制度を導入した秋田市では1組が利用している。

スクラップは会員限定です

使い方
「地域」の最新記事一覧
3036316 0 虹のかけ橋 2022/05/27 05:00:00 2022/05/27 21:22:52 2022/05/27 21:22:52 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/05/20220527-OYTAI50027-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)