患者らの悩み寄り添う 

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一般社団法人「緑の杜」代表理事 太田緑さん

「ナーシングカフェ・ほうぷ」に使用した部屋で、笑顔を見せる太田さん(1月22日、十和田市で)
「ナーシングカフェ・ほうぷ」に使用した部屋で、笑顔を見せる太田さん(1月22日、十和田市で)

 病気や障害、高齢者の不安など様々な相談に無料で応じる「暮らしの保健室」を、昨年末から1月にかけ、十和田市内に開設した。名前は「ナーシングカフェ・ほうぷ」。肩ひじを張ることなく、看護師とお茶のみ話の延長で困りごとを考え、解決策を一緒に探す。「ここに来れば、ほっとする空間と時間に浸れ、何らかの希望が得られるように」。ひらがな表記に、優しさへの思いがこもる。

 今回は試行段階で、ナーシングカフェ・ほうぷの開設期間は限られた。宣伝不足もあって実際の利用者は少なかったが、病気を抱える中年の女性らが訪れた。本人には深刻だが、「こんなことを」と思われそうで病院では相談しづらいこともある。「ほうぷ」では治療、容体などへの悩みに耳を傾け、つらさに共感した。「予断は持たないことが大事。真っ白な気持ちで向かい合うことを、常に心がけています」。女性も「話をしたら、楽になった」と、すっきりした表情で帰ったという。

 自立できる職業として看護師を志し、病院で多くのがん患者に関わった。「痛み、不安を何とかできないか」と学んだのが、患者と家族の揺れる気持ちに寄り添うための緩和ケア。後輩の指導にも力を尽くし、「30年余の病院勤務でやれることはやった」。退職し、患者が安心して家に帰れる地域づくりに、2017年から取り組み始めた。

 医療は治すことに一生懸命だが、看護学生時代から「治せない病気、健康を取り戻せない人はどうなる」が、心の中で消えない疑問だった。考え続け「最後まで伴走できればいい」に思い至った。地域の中で、何が必要とされ、看護師サイドからどんなサポートができるかの模索が続く。

 地方の医師不足は深刻で、在宅医療の現実は厳しい。ならば、自分たちにできることからやろうと考えた。運営する訪問看護ステーションは、地域に根ざし、地域を支える医療の一翼を担う。

 名刺の裏には「自分らしく生きる」とある。「体を動かせる、動かせないかは別にして、本人の自由な気持ちを支えて、思いにつなげたい」という。

 患者が意思表示できないなら、家族にも考えてもらう。「着たい服、好みの飲み物。ささいなことだが、生活の中での本人らしさ」を取り戻すことに心配りする。たくさんの患者に接して、治療に臨む姿勢、亡くなることへの覚悟などに触れた。逆に、教えてもらうことも多く、やる気をかき立てられるという。

 様々な人々がつながり、支え合う地域づくり実現を目指す。資金や人材確保が難題の「ほうぷ」常設に向けても、ゆっくりだが歩は止めず、着実に前へ進みたいと考えている。

(神秀穂)

 1962年3月、青森市生まれ。看護師として働き、結婚を機に十和田市に移り住んだ。十和田市立中央病院では緩和ケア認定看護師となり、2016年に退職。17年、一般社団法人・緑の杜の代表理事に。みどりの風訪問看護ステーションを運営している。

420962 1 あおもり旬の人 2019/02/04 05:00:00 2019/02/04 05:00:00 2019/02/04 05:00:00 「ナーシングカフェほうぷ」に使用した部屋で、笑顔を見せる太田緑さん(22日午後7時25分、十和田市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190203-OYTAI50005-T.jpg?type=thumbnail

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