加曽利貝塚 魅せられて

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貝の層の前で、縄文時代の生活について語る西野所長(加曽利貝塚で)
貝の層の前で、縄文時代の生活について語る西野所長(加曽利貝塚で)

 「縄文人は、貝でスープのだしを取っていたに違いない」「見つかった魚の骨は種類が様々。グルメだったのだろう」。今年10月、貝塚としては初めて国の特別史跡に指定された千葉市若葉区の加曽利貝塚。露出した貝の層を指さしながら、市教育委員会埋蔵文化財調査センターの西野雅人所長(55)が説明してくれた。

 申請の際に報告書を取りまとめた中心人物だ。貝の大きさ、使われ方、縄文時代の生活――。貝塚について話し始めると止まらない。「貝塚はまさに宝の山です」

 柏市出身。小さい時から歴史好きで、遺跡のテレビ番組に胸を躍らせた。大学で考古学を専攻し、1年の夏休みに発掘調査に参加した市原市で貝塚と出会った。骨や土器を掘り出し、「縄文の空気がつまったタイムカプセルのようだ」とのめり込んだ。中でも日本最大級の加曽利貝塚は「憧れの存在」だった。

 卒業後、研究員として県文化財センターに勤務。県内の貝塚の出土品を整理する業務にあたった。貝塚は他の遺跡に比べて出土品が多く、全てを分析することは困難だったが、必要と考えれば、発掘現場から持ち帰って延々と調べた。

 2012年、千葉市教委が加曽利貝塚の国特別史跡指定を目指し、その歴史や出土品をまとめた報告書作りに乗り出した。

 「またとない機会。ぜひ自分もやってみたい」。知り合いの市職員に打ち明けると、「一緒にやろう」と応じてくれた。家族や同僚も後押ししてくれ、30年近く勤めた職場を辞め、千葉市の埋蔵文化財調査センターの主任研究員として報告書作りの中心に立った。

 貝や土器などの出土品を、図や文字にしていく地道な作業だが、憧れの貝塚についてまとめるのは楽しかった。特に、加曽利貝塚が1960年代以降、市民らの手で守られてきた点に着目し、保存の歴史を報告書に盛り込んだ。指定が決まったときは「価値が認められた」と喜びがこみ上げた。

 加曽利貝塚の発掘は、まだ全体の7%。今年始まった発掘調査は来年以降も行われる予定だ。西野所長は「縄文時代の暮らしや魅力をたくさんの人に知ってほしい」という。どんな発見があるのか、その名が紙面に躍る日を今から楽しみにしている。(貝塚麟太郎)

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1872 0 記者ノート2017 2017/12/29 05:00:00 2017/12/29 05:00:00 貝の層を前に、貝の種類について説明する西野所長(21日、加曽利貝塚で)=貝塚麟太郎撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180104-OYTAI50003-1.jpg?type=thumbnail

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