フロント係は恐竜ロボ

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ホテルのカウンターで宿泊客を出迎える恐竜ロボット
ホテルのカウンターで宿泊客を出迎える恐竜ロボット

 「変なホテルにようこそ。僕に向かって名前をお話しください」

 浦安市の「変なホテル舞浜 東京ベイ」のカウンターで出迎えてくれたのは、恐竜ロボットだった。制帽をかぶり、日・英・韓・中4か国語を話す、れっきとしたフロント係だ。案内に従いタッチパネルでチェックインすると、脇の機械からルームキーが出てきた。

 客室は100部屋。ホテル経験がない人間の従業員8人に対し、約140台のロボットが“勤務”している。

 客室には、AIを積んだ執事ロボットがいた。「室温を下げて」「電気を消して」と話しかけると、声を認識してエアコンや照明を操作してくれた。誰もいない部屋で、話しかけるのは少し照れくさいかもしれない。廊下では掃除ロボットがせっせと床を掃いていた。

 母親と2人でホテルを利用した神戸市のパート湯本奈甫さん(30)は「宿泊施設自体がテーマパークみたい」と笑顔を見せた。

 同ホテルは旅行大手のエイチ・アイ・エスグループが昨年3月に開業。先端技術を用いたロボットを取り入れて従業員数を同規模ホテルの4分の1に抑え、人件費を削減した。東京ディズニーリゾートにほど近いが、平日宿泊料金は1部屋1泊約8500円からと低価格だ。

 訪日外国人客(インバウンド)の増加や2020年東京五輪・パラリンピックを見据え、県内はホテルの建設ラッシュに沸く。厚生労働省によると、県内の16年度末時点のホテル客室数は約3万1000室。前年度比8・7%増で、増加幅は全国1位だ。だが、雇用が追いついていない。千葉労働局によると、宿泊や飲食など県内サービス業の今年3月の有効求人倍率は3・03倍と、ロボットの活躍に期待がかかる。

 人手不足解消にとどまらず、客の要望に沿った「おもてなし」でも期待が広がる。IT大手サイバーエージェント(東京)と大阪大は、接客ロボットの共同研究に乗り出した。

 今年3~4月には都内ホテルで、廊下などに高さ30センチほどのかわいらしい人型ロボットを設置する実験を行った。「こんにちは」「お疲れ様です」と声をかけられたら、どう感じるかを利用者に尋ねたところ、「人よりも威圧感がなく、楽しい気分になる」と好評だったという。

 ロボットが客室で旅行プランの相談に応じたり、リピーターに新たな情報を提供したり、ホテルの施設を案内したり――。同研究を担当し、アンドロイド研究の第一人者でもある同大の石黒浩教授は「外国人客が増える一方で、人材不足で顧客満足度が下がる恐れがある。ロボットを活用した新しいおもてなしのかたちを実現したい」と話す。

 東京大会開催が決まった13年の国際オリンピック委員会(IOC)総会で世界から脚光を浴びた「おもてなし」。日本人が作ったロボットと、人間が切磋琢磨せっさたくましながら外国人客を出迎えるのは2年後かもしれない。

(この連載は石川奈津美が担当します)

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22954 0 ちばテック 最前線 2018/05/22 05:00:00 2018/05/22 05:00:00 フロントで宿泊客を出迎える恐竜ロボット(4月17日午後3時、浦安市で)=石川奈津美撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180522-OYTAI50001-T.jpg?type=thumbnail

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