搾乳自動化 作業量3分の1

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搾乳ロボットについて説明する池田さん=石川奈津美撮影
搾乳ロボットについて説明する池田さん=石川奈津美撮影

 南房総市の牧場「ファームイケダ」の牛舎には、人影が見当たらない。

 1頭分の広さの搾乳室に牛が入ると、扉が自動で閉まった。先端に3Dカメラが付いたロボットアームが牛の乳房に伸び、乳頭の位置を検知。搾乳機がぴたりと装着されると、牛は搾り終わるのをじっと待った。

 「この牛の前回の搾乳は、13時間前の午前0時8分。量は約20リットルですね」

 牧場主の池田美香さん(38)が、近くの管理室でモニター画面を見つめた。体重、過去の搾乳日時、量――。ずらりとデータが並ぶ。

 池田さんは昨年6月、国の補助制度を活用し、ドイツ製の搾乳ロボットなど最先端技術を導入した牛舎を新築した。以前は父忠雄さん(69)と男性従業員との3人で一年中休むことなく、午前5時半と午後5時半の2回、搾乳していたが、今ではロボットが24時間体制で約50頭を管理する。

 カギは、牛に取り付けられた首輪だ。歩いたり、食事したりしたときの「動き」を検知するセンサーが内蔵され、それぞれのデータを蓄積。前回の搾乳時刻をもとにシステムが搾乳できる牛を判別し、通路に設けられた可動ゲートで搾乳室か餌エリアに選別して誘導する。

 自動化は搾乳にとどまらない。首を上下に振る食事の時の動きから、食事をしている時間を推計。少ないと画面に警告が出る。発情期の牛は歩数が増えるが、その可能性がある牛をリストアップしてくれる。1日2回処理していたふんは、金属板が2時間おきに自動で掃き出す。

 作業量は以前の約3分の1になった。「小学5年になる長女との時間がたっぷり取れる」と池田さんは目を細めた。

 池田さんは大学卒業後、忠雄さんとともに酪農に携わり、2011年に後を継いだ。「きつい」「くさい」「きたない」の「3K」ともいわれる重労働。池田さんは長女の出産当日も働き、3週間で復帰した。「だが、この先やっていけるか不安だった」と振り返る。

 江戸時代、幕府直轄の牧場があり、国内酪農の発祥地とされる本県だが、酪農家は昨年2月時点で678戸。約60年前から97%も減った。経営者の高齢化も進む。

 農林水産省によると、今年3月時点で、全国の牧場で導入された搾乳ロボットは約680台、牧場の5%弱だ。当初はエラーも多かったが、完全自動化されつつある。生産性の改善を進める同省が15年度から導入の助成を強化したこともあり、大幅に増え始めているという。同省担当者は「飛躍的に作業時間が省ける」と期待を寄せる。

 「3Kだった酪農のイメージは変わりつつある」。こう語る池田さんは、自動化で余裕ができた時間を使い、酪農体験の受け入れに取り組み始めている。自分たちが育てた牛がおいしい牛乳をたくさん出してくれる酪農の喜びを、子供たちに発信していくつもりだ。

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23117 0 ちばテック 最前線 2018/05/23 05:00:00 2018/05/23 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180523-OYTAI50006-T.jpg?type=thumbnail

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