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入所者の歯磨きを手伝うホアンさん(4日、松戸市で)
入所者の歯磨きを手伝うホアンさん(4日、松戸市で)

 松戸市の特別養護老人ホーム「ひまわりの丘」。アルバイトとして働くベトナム人留学生のチャン・ミン・ホアンさん(26)が入所者の女性に「ベッドに移しますね」と日本語で声をかけ、車いすの女性を抱き上げた。

 2016年に来日し、日本語学校で2年間学んだホアンさんが施設で働き始めたのは今年6月。介護福祉士を養成する専門学校に通いながら勤務し、入所者の食事やトイレ、就寝の介助などを行う。バイト代は月11万円ほど。半年に1回、勤務態度に応じた奨励金も支給され、施設はアパートの家賃や学費の補助も検討している。

 施設で働くベトナム人留学生は6人。入所する女性(99)は「優しくてよく面倒を見てくれる。気軽に頼み事もできる」と信頼を寄せる。

 ここで最期を迎える入所者も多く、施設長の梶原栄治さん(56)は「看取りにも立ち会う介護の仕事には人と人の関わりの原点がある」と語る。

 ホアンさんは午前9時から夕方まで学び、午後5時半から4時間勤務する。就寝は午前1時半。それでも「おじいさんやおばあさんの助けになれることが心からうれしい。施設のみんなも優しくて、わからないことを説明してくれる」と声を弾ませる。母国で介護施設を運営するのがホアンさんの夢だ。

 県内の外国人労働者数は17年10月末現在、前年比9493人増の4万9335人。だが、全ての職場が恵まれているとは限らない。

 「会社の名前を知らない」。16年に来日し、技能実習生として銚子市の水産加工会社で働いていたタイ人男性は、外国人の労働問題に取り組む弁護士にこう話した。2段ベッドが置かれたアパートの一室に数人で暮らし、月給は聞いていた額より4万円も少ない8万円。男性は通訳を介して「帰りたい」と訴え、半年近くで帰国した。

 県南部の建設会社では08年、レンガの切断作業中だった技能実習生の中国人男性が指を一部切断し、労災認定された。損害賠償を求めて提訴した男性の代理人弁護士によると、会社側は当初、「金目当ての自傷行為」と取り合わなかったが、和解に転じた。

 会社側は事故後も片手で仕事をさせ、賃金も一部未払いのまま強制的に帰国させようとしたという。男性のノートには「休憩なし」「残業」の文字がたくさん並んでいた。

 日本に技能実習生を送り出すことを目的に、ベトナム・ホーチミンで人材育成施設を運営する「SULECO」社のレ・ティ・ミ・ハン社長(38)は「賃金以上に最高水準の技能を学べるのが日本」と語る一方、「ベトナム人材を企業財産と認めてくれない会社も一部にある」と指摘する。

 行政や企業など、受け入れ側が向き合うべき課題は山積している。(この連載は、重松浩一郎が担当しました)

53772 0 外国人材@千葉 期待と不安 2018/12/08 05:00:00 2018/12/08 05:00:00 入所者の歯磨きを手伝うチャンさん(4日、松戸市で)=重松浩一郎撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181212-OYTAI50019-T.jpg?type=thumbnail

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