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    競技の喜び原点 再確認

    • 試合に勝ち、選手に熱く語りかける古庄ヘッドコーチ(11月10日、横浜スタジアムで)
      試合に勝ち、選手に熱く語りかける古庄ヘッドコーチ(11月10日、横浜スタジアムで)

     11月10日、横浜スタジアム。アメリカンフットボール・日本社会人Xリーグの決勝トーナメント初戦で、オービックシーガルズ(習志野市)は、リーグ戦で敗れた相手にリベンジを果たした。古庄直樹ヘッドコーチ(40)は選手に次戦に向けた指示を与えた後、声を張り上げた。「全てをかけて楽しもうや」

     日本大の選手による危険タックル問題に揺れた今年のアメフト界。国内では脚光を浴びる機会があまりない競技だが、あの1プレーは繰り返し報じられた。監督の辞任、選手の謝罪会見と波紋は広がり続けた。

     私もアメフトの経験者だ。始めたのは中学3年の時。同級生に誘われたのがきっかけだった。1プレーごとに作戦を練り、敵陣を目指す。頭脳戦でもある競技の魅力に取りつかれ、高校と大学でも続けた。朝から晩まで勝利することだけを考えていた。

     しかし、問題発覚後、取材先との雑談で競技経験を話すと、こう言われることが増えた。「『危ない』スポーツをしていたんだね」。そのたびに「スポーツは勝つことが全てなのか」と問われているような気がした。

     勝つからおもしろいのではなく、おもしろいから勝つ――。古庄ヘッドコーチがブログに記したこの言葉に出会ったのは、せめて競技の魅力の一端でも伝えようとオービックの取材を進めていた時だった。

     Xリーグに所属する選手の多くは平日に仕事があり、限られた時間で練習や自主トレーニングに励む。そうまでして続けるのはなぜなのか。「アメフトでお金をもらっているわけじゃない。おもしろいと思えなかったら、やってる意味がない」。古庄ヘッドコーチの答えは明快だった。

     私は大学の途中で選手からマネジャーに転向し、試合に出場することもなくなった。落ち込まなかったと言えばうそになるが、裏方に回っても「勝ちたい」という気持ちを支えたのは、アメフトがおもしろいと感じていたからだった。言葉は胸に深くささった。

     オービックは決勝トーナメント準決勝で敗れ、5年ぶりの社会人日本一はかなわなかった。「一度休息して、またワクワクするチームをつくっていく」。悔しさをにじませつつも、試合後の古庄ヘッドコーチのコメントは前向きだった。

     勝利を求める原動力は、競技する喜び。そのことを改めて確認させてもらえた思いがする。頂点まであと一歩。フィールドを躍動する選手を来年も追いかけ、ペンを走らせたい。

    (貝塚麟太郎)

    2018年12月26日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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