Qなっつ 研究20年の味

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収穫されたQなっつの乾燥具合を確認する黒田研究員(千葉市緑区の県農林総合研究センターで)=羽田和政撮影
収穫されたQなっつの乾燥具合を確認する黒田研究員(千葉市緑区の県農林総合研究センターで)=羽田和政撮影
昨年10月に一般販売が始まったQなっつ。殻の白さが特徴だ
昨年10月に一般販売が始まったQなっつ。殻の白さが特徴だ

 昨年10月、JR千葉駅で行われたイベントに多くの人が集まっていた。人々が手にしたのは落花生の小袋。約650袋のサンプルが瞬く間になくなった。新品種「Qなっつ」だ。

 アルファベット順で「P」の次の「Q」にちなみ、「これまでのピーナツを超える味に」という意味が込められた。開発したのは県農林総合研究センター(千葉市緑区)。担当の黒田幸浩さちひろ研究員(39)は「次世代の落花生として、生産者にも消費者にも喜ばれる品種ができた」と胸を張る。

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 本県は全国4位の農産物産出額を誇る農業県。温暖で作物の栽培に適した関東平野が広がり、日本ナシ、ネギ、大根など産出額全国1位の品目も多い。

 中でも落花生は、千葉半立やナカテユタカ、郷の香、おおまさりの4種を中心に栽培され、2017年の収穫量は1万2200トンと全国の8割近くを占めた。だが、農家の高齢化や手間がかからない作物への転換などで、作付面積は最盛期だった1965年の2万5500ヘクタールから、2017年には5080ヘクタールまで減少した。

 需要も贈答やつまみ用などが多く、裾野を広げることが課題だった。こうした中、より栽培しやすく、甘くておいしい落花生で子供など広い層に親しんでもらおうと、1998年、新しい品種の開発が始まった。

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 最初は、郷の香と、実が甘くて茎腐病くきぐされびょうに強い「関東96号」を掛け合わせ、様々な特徴の個体を1500まで増やした。病気への強さ、甘さや食感、収穫量などの観点から、10年以上かけて絞り込んでいった。

 2010年10月、最後に残った個体が研究室のテーブルに並んだ。その年の4月に担当になった黒田さんも、殻をむいて口に放り込んだ。すると、他のものにはないまろやかな甘さが広がった。「これならいける。次の県産品の目玉になる」。それがQなっつとなる「千葉P114号」だった。

 「味だけでなく、病気や干ばつに強く、手間のかからない品種に仕上げて生産農家の希望に応えたい」。その後もセンターの圃場ほじょうで改良が続いた。植える時期や収穫の時期、与える水の量――様々な条件で試行錯誤し、次第に品質や収穫量が安定するようになった。

 17年、初めて農家に種を販売した。18年には県内で計約150トンが収穫され、農家からは「量も取れるし、おいしい」と好反応だった。

 18年10月には、国に新品種として登録され、県内50店舗以上で一般販売が始まった。目新しいQなっつのことを尋ねたり、購入したりする客も多いという。

 産地の八街市はさっそくふるさと納税の返礼品に採用。今年度の寄付額の見込みが過去最高の5000万円となる見通しだ。黒田さんは「今後さらに生産量が増えて多くの人に食べてほしい」と目を細める。

 その時々の課題に根気よく挑み、新たな品種を生み出してきた千葉の農業。20年にわたる研究を経て誕生した自信作は、千葉の農業史にどんな一ページを記すのだろうか。

(羽田和政)

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61365 0 平成から次代へ 2019/01/06 05:00:00 2019/01/06 05:00:00 収穫されたQなっつの乾燥具合を確認する黒田研究員(千葉市緑区の県農林総合研究センターで)=羽田和政撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190107-OYTAI50037-T.jpg?type=thumbnail

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