旅館玉川歴史に幕

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4月末で廃業・閉館した割烹旅館玉川(19日、船橋市湊町で)
4月末で廃業・閉館した割烹旅館玉川(19日、船橋市湊町で)

 今年創業100年目を迎え、国の登録有形文化財にもなっている老舗旅館「割烹旅館玉川」(船橋市湊町)が4月末で廃業、閉館した。宴会需要の減少で経営環境が悪化し、新型コロナウイルス感染拡大に伴うキャンセルが続出したことで、苦渋の決断に至った。歴史に幕を下ろした建物は近く取り壊される予定で、19日、報道陣に内部が公開された。(長原敏夫)

■台風、コロナ影響 旅館は1921年(大正10年)、料亭として開業した。28年に数寄屋風の意匠を客間に取り入れた第一別館、33年に宴会場がある第二別館、41年に高床式で楼閣風の本館を建築。純和風の建物はいずれも2008年に登録有形文化財となった。

 東京湾が埋め立てられるまで、旅館南側には海が広がっていた。戦前は陸海軍の高級将校が好んで訪れ、1935年夏から約1年3か月間、船橋市内で暮らした作家・太宰治(1909~48年)も滞在したとされる。

 戦後も企業の接待や地域住民の宴会などでにぎわったが、ここ数年は客足が鈍り、建物の老朽化や大型台風の影響による修繕費が経営を圧迫していた。今年に入り、新型コロナウイルス感染拡大が追い打ちをかけ、最後に客を受け入れたのは宴会が3月22日、宿泊が同29日。4月のキャンセルは約50件に上った。

■妙案浮かばず決断 代表取締役の小川了さん(71)と姉で3代目女将おかみの長野與子ともこさん(73)は「話し合ったが妙案が浮かばなかった。キャンセルが相次いだことで70歳を過ぎた自分たちの体力など、考える時間ができてしまった」と話す。

 建物は安全面も考慮し、6月から解体工事に入る。長野さんは「旅館の前が海だった頃、潮風を受けながら廊下を歩く芸者さんの姿が懐かしく思い出される。お祭りの会合や大学生の打ち上げなど、近隣の多くの方に利用していただいたことが励みでした」と振り返る。

 文化庁によると、1996年以降、全国で1万3207件の建造物が登録有形文化財となったが、うち207件は「解体等」を理由に登録が抹消されている。

 市は今後、建物の調査を行い、動画や写真に収め「記録保存」を図る。

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1229164 0 ニュース 2020/05/20 05:00:00 2020/05/20 21:35:33 2020/05/20 21:35:33 4月末に廃業・閉館した割烹旅館玉川(船橋市湊町で)=長原敏夫撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/05/20200519-OYTNI50055-T.jpg?type=thumbnail

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