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銚子市漁協は、大規模な洋上風力発電施設が建設される予定の銚子市沖で、海域環境の調査を始めた。調査結果に基づき、新たに人工魚礁の設置などを進め、豊かな漁場の形成を目指す。
銚子市沖では約3950ヘクタールの海域に31基の着床式大型風車が建設され、2028年9月から運転を開始する。海産物の水揚げ量日本一の同市で、現場海域はヒラメ漁が盛んな場所だが、発電施設建設による漁業への影響は未知数だ。
一方で、13年から浮体式の洋上風力発電施設の本格的な実証実験が始まった長崎県五島列島の
今回の調査は、水中工事、環境・生物調査会社「渋谷潜水工業」(神奈川県平塚市、渋谷正信社長)の協力で実施。同社は16年に長崎県が行った洋上風力発電施設の建設に伴う漁業影響の調査に携わり、海洋構造物の漁礁化技術も提供した。
銚子市沖では5月に調査が始まり、3年間かけて、潜水員や水中ロボットが水深8~20メートルの現場海域の海底地形データを収集し、海流や海底水温などを調査する。伊勢エビ、キンメダイなど魚介類や海藻の資源量も調べ、ヒラメ以外で今後増えそうな魚種を予測する。
調査を基に、人工魚礁の設置場所の選定や藻場づくりなどを行う。風車の建設が始まる前に、新たな漁場としての実証実験も行う予定だ。
洋上風力発電事業を巡って、市や漁協が「漁業との共存共栄」を求めたことを受け、三菱商事グループなどで構成する発電事業者は、銚子市と旭市などが設置する複数の基金に計118億円を支出する。今回の調査費用や漁場整備費は、この基金で賄われる。