自動運転社会なぜ目指す? 交通弱者を助けたい

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自動運転技術に関する展示の前で語る有馬浩二社長=中根新太郎撮影
自動運転技術に関する展示の前で語る有馬浩二社長=中根新太郎撮影

デンソー社長 有馬浩二氏 61

 自動運転の実現には「目」となるセンサーやレーダー類のさらなる進化や、集めた情報から状況を判断し、必要な操作につなげる処理能力の向上など、鍵となる部品や技術が不可欠です。

 今のシステムでは、人が運転する車の複雑な動きを読み切れないことがあります。自動運転で走る車と、人が運転する車が混在すると、(安全を優先するために)自動運転の車は停止してしまうでしょう。

 自動運転は、空港や港湾など、限られたエリア内では(比較的早期に)実現すると思います。ですが、名古屋市内や(本社のある)刈谷駅周辺といった都市部は、まだ時間がかかると思っています。

 自動運転技術の研究開発は、「誰のために」「何のために」ということを間違えると、社会に貢献することができません。

 我々デンソーは交通弱者をとにかく助けたい。そのために、自動運転社会を実現したいと思っています。高齢化や過疎化(によって生じる問題)や、交通事故(の多発)という課題を、自動運転の技術で解決していきたいと考えています。

 レベルの高い自動運転技術と、それほど(レベルは)高くはないけれど、安全運転のために手軽に使ってもらえる技術とを分けて考える必要があります。

 <自動運転技術を巡っては、異業種を巻き込んで開発競争が激化している。特に、ドイツの部品大手が合併・買収(M&A)などで規模拡大を図り台頭している>

 自動車部品大手以外にも、米国のグーグルやアップルといった情報技術(IT)大手など異業種とも競争しています。

 デンソーの強みは、命を乗せて走る自動車の部品を70年間、作り続けてきたことです。私たちの製品は、年に何百万台もの車に搭載されてきました。量産技術や知見の蓄積には自信があります。

 欧米企業のように(M&Aで規模拡大を)やりだすと、日本メーカーの持っているものづくりの力が崩れてくると思います。日本には、「あっ」と驚く技術を持つ中小企業が全国津々浦々に存在します。そういう企業と一緒にやっていく状況をどう作り出していくのかということが、デンソーの新しいミッションになると思います。

 <自動運転技術の開発には莫大ばくだいなお金がかかる>

 トヨタグループを含め、(様々な企業と)連携することで、投資額や経費を減らすことができます。「お互いの強みを持ち寄り、総力を結集して効率の良い開発をしましょう」という方向に動き始めています。

 トヨタ、アイシン精機と(2018年に)設立した「トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI―AD)」もその一つです。19年がデンソーにとって勝負になるでしょう。成果を形にしなければいけません。

 <自動運転社会の実現には、法律の整備や規制緩和なども必要だ>

 規制が多いと、実証実験を海外でやらざるを得なくなることも考えられます。(車体の大きい)商用車の事故は被害が大きくなる可能性が高いから、「特別な商用車のレーンを作って、この区間内で実証実験をしっかりやりましょう」というような動きをすることも大事なことです。

 行政がリーダーシップを取って特区などを作ってもらい、色々な企業や人が競争心を燃やして開発していけるようになれればよいと思っています。

(聞き手 秋田穣、写真 中根新太郎)

ものづくりについての展示があるギャラリーで語る有馬社長
ものづくりについての展示があるギャラリーで語る有馬社長

開発競争 激化

 自動車部品業界では自動運転、電動化など「CASE」と呼ばれる次世代車技術の開発競争が激化している。欧米ではM&Aを繰り返すなどした「メガサプライヤー」と呼ばれる巨大部品企業が、CASE対応でも存在感を増している。

 調査会社フォーインによると、2017年度の自動車部品事業の売上高はトップの独ボッシュが532億ドル(5.9兆円)で2位デンソーの447億ドル(5兆円)をしのぐ。ボッシュは17年に約9200億円と、デンソー(18年度見通しで約5000億円)の倍近い巨額の研究開発費をCASEの対応などに投じた。

 日本への進出も強化している。トヨタ自動車はデンソーに発注していた安全運転支援システムの一部でコンチネンタルを追加するなど、日系の自動車大手の間でも次世代車分野でメガサプライヤーに発注するケースも増えている。

デンソー

 本社・愛知県刈谷市。1949年、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)から分離し、日本電装として設立。トヨタ向けを中心にカーエアコンなど電装部品を販売し、現在は安全運転を支援する電子部品などを世界の自動車大手に提供している。「QRコード」も開発した。2018年3月期連結決算は売上高約5兆円、営業利益約4100億円で従業員数は約17万人(単体約4万人)。

 ありま・こうじ 1958年生まれ。愛媛県出身。81年京大工卒、日本電装(現デンソー)入社。主に生産技術部門を歩み、2005年にデンソー・マニュファクチュアリング・イタリア社長就任。08年常務役員、14年専務役員。15年、取締役を経験せず「14人抜き」で社長に就任した。

489655 1 東海経済・この人に聞く 2019/03/15 05:00:00 2019/03/15 05:00:00 2019/03/15 05:00:00 「社長インタビュー」デンソーギャラリーの自動運転技術に関する展示の前で語る有馬浩二社長(6日、愛知県刈谷市で)=中根新太郎撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/03/20190314-OYTAI50009-T.jpg?type=thumbnail

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