中部企業コロナで明暗 名鉄赤字拡大275億円
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新型コロナウイルスの感染再拡大の影響を受けた中部企業の2021年3月期の業績は、業種や業態で明暗が分かれそうだ。9日までに決算を発表した企業のうち、交通や飲食などを中心に業績予想を引き下げる企業が目立つ。巣ごもり需要やテレワークの拡大で上方修正した企業もある。(岡崎哲、藤井竜太郎)

■「非常に厳しい」 名古屋鉄道(名古屋市)は、最終利益の赤字が275億円に拡大する見通しになった。昨年11月時点では240億円の最終赤字を予想していた。赤字転落なら16年ぶり。緊急事態宣言が愛知、岐阜両県に再発令され、交通事業を中心に需要減が長引き、レジャー・サービス事業の収益も悪化し特別損失が増えると見込む。年間配当は18年ぶりに無配(前期は25円)となる。
古橋幸長・財務部長は「非常に厳しい状況だ。メインの交通事業で移動需要が回復しなければ、深刻な状況になる」と述べた。
三重県を中心にバスや小売りなどを手がける三重交通グループホールディングス(GHD、津市)は売上高に当たる営業収益の予想を30億円引き下げた。宣言発令や「Go To トラベル」停止によるレジャーなどの需要減を織り込んだ。
■時短営業 外食チェーンは宣言発令で時間短縮営業を強いられている。アトム(名古屋市)は休業を強いられた居酒屋も多く、レストランは午後8時までの時短営業が中心だ。この結果、売上高を昨年8月時点の予想から約60億円引き下げた。春名秀樹管理本部長は「固定費削減に努めてきたが、宣言の影響は大きい」と話す。
ヨシックス(名古屋市)は21年3月期の業績予想の公表を今月5日の4~12月期業績発表の際にも見送った。「コロナの影響を合理的に算定することが困難」としている。
■テレワーク 一方、巣ごもり需要の拡大は幅広い業種に好影響を与えている。100円ショップ大手のセリア(岐阜県大垣市)は、売上高の予想を30億円引き上げた。河合映治社長は「手芸や工作用品を買い求める人が増えている」と話す。
ブラザー工業(名古屋市)も家庭需要の拡大で売上高に当たる売上収益の予想が250億円、上振れする。担当者は「テレワーク拡大を背景にプリンターの売り上げが好調で、ミシンも売れている」と話す。
東陽倉庫(名古屋市)は巣ごもり需要拡大に伴う電子商取引などの荷動きの活性化などで営業収益を引き上げた。
電子部品製造のイビデン(岐阜県大垣市)は最終利益の予想が昨年4月時点に比べ1・6倍となる。テレワークやオンライン教育の普及で半導体関連の需要が拡大すると見込む。