自動車産業の変革期◆550万人の雇用守る/

全トヨタ労連自公とも連携 脱炭素推進愛知県に要望

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

与野党の愛知県選出国会議員とともに大村知事に要望書を手渡す全トヨタ労働組合連合会の鶴岡光行会長(左から3人目)(1日、愛知県公館で)
与野党の愛知県選出国会議員とともに大村知事に要望書を手渡す全トヨタ労働組合連合会の鶴岡光行会長(左から3人目)(1日、愛知県公館で)

 全トヨタ労働組合連合会が旧民主党系に加え、自民、公明両党との関係強化を進めている。1日には愛知県に対し、初めて超党派の国会議員と共同で、脱炭素社会の実現に向けた協力を要望した。かつての「民主王国愛知」を支えた全トヨタ労連の与党との関係強化は、衆院選を前に注目を集めそうだ。(藤井竜太郎)

■超党派 全トヨタ労連の鶴岡光行会長は、県公館で大村秀章知事と会談し、政府が掲げる2050年カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量の実質ゼロ)の実現に向けた要望書を手渡した。会談には、自民、公明、立憲民主、国民民主の各県組織幹部を務める国会議員らが同席した。

 要望書では、官民で愛知県独自の具体策を検討する政策協議の場「愛知カーボンニュートラル懇話会(モビリティー分野)」(仮称)の設置や、政府への積極的な働きかけなどを求めた。

 鶴岡会長は会談終了後の記者会見で、「スピード感を持った課題解決には超党派でないといけない」と力説した。自民党県連会長の藤川政人参院議員は、「鶴岡会長と知事に要請する機会が訪れることは与党として想像できなかった」と話した。公明党県本部代表代行の里見隆治参院議員は「野党の皆さんとも協力し、業界任せではなく進めないといけない」と強調した。

 立憲民主党愛知県連代表の斎藤嘉隆参院議員も「(雇用を)どう守るか。非常に大きな課題だ」と述べ、国民民主党愛知県連代表の古川元久衆院議員は「雇用を守りながらカーボンニュートラルの実現をしていく」と訴えた。

■危機感

 全トヨタ労連は、トヨタ自動車グループの314組合が加盟し、組合員35万7000人を擁する、自動車総連の中核的な組織だ。旧民主党系政党の有力な支持団体として選挙でも協力してきた。

 しかし、今年1月の中央委員会では、自民、公明両党とも連携を強化する方針を決定。今回の訪問はその方針を具体化したものだ。

 全トヨタ労連が与党との連携を強化するのは、「100年に1度」と言われる自動車産業の変革期を乗り越えるために「国、政府として対応してほしい」(鶴岡会長)との危機感がある。

 世界的に脱炭素化の流れが強まる中、電気自動車(EV)一辺倒の風潮によって、長年にわたって培われたエンジン技術と、それに関連する雇用が失われる懸念に対する中小部品メーカーの不安は大きい。

 国内の電気の大半は、CO2を排出する火力で発電されている。脱炭素に向けた国際規制が進めば、こうした電気を使って作られた車の輸出が難しくなることも懸念される。日本自動車工業会によると、19年の国内生産台数の半数が輸出に振り向けられた。この輸出がなくなれば最大100万人の雇用が失われると試算している。

■動向に注目

 組合が危機感を強める一方、野党は支持率の低迷が続いている。政権奪還の見通しは立たないまま、野党を通じた従来の要望活動を続けても、政策に反映しにくいのが現状だ。

 鶴岡会長は「(脱炭素の取り組みは)自動車産業に関わる550万人の雇用に関わってくる問題。(超党派で)取り組みを進めることが将来的に雇用を守ることにつながる」と訴える。

 県政界では、共産党と接近する立憲民主党をけん制する狙いがあるとの見方もある。

 与党側にとっては、全トヨタ労連との関係強化は、基盤の強化につながる。藤川会長は「選挙協力を要望したいところももちろんある」と期待感を隠さないが、鶴岡会長は「選挙は、また選挙だ」と話すにとどめている。

 全トヨタ労連は17日から、名古屋市内で定期大会を開く。菅首相が退陣を表明し、自民党総裁選、衆院選、来年の参院選と続く中、その動向は与野党の双方から注目を集めている。

スクラップは会員限定です

使い方
「地域」の最新記事一覧
2369061 0 東海けいざい・断面 2021/09/16 05:00:00 2021/09/16 05:00:00 2021/09/16 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/09/20210915-OYTAI50009-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)