陸送も燃料電池 川崎重工など協力

豪州産水素で加速 トヨタ鈴鹿で3戦目/

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疾走するトヨタ自動車が開発中の水素エンジン車(19日、三重県の鈴鹿サーキットで)=稲垣政則撮影
疾走するトヨタ自動車が開発中の水素エンジン車(19日、三重県の鈴鹿サーキットで)=稲垣政則撮影

 トヨタ自動車が開発を進める水素エンジン車が18~19日、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開かれた5時間耐久レースに参戦した。今回は、川崎重工業などが豪州から運んだ水素を初めて燃料に利用した。水素の利用拡大に向け、「運ぶ」をテーマに課題探しに取り組んだ。(香取直武、牧志朝英)

◆仲間作り

 「意志ある情熱をもった行動で仲間作りが広がっている」。トヨタの豊田章男社長は18日の記者会見で力を込めた。

 水素エンジン車のレースは3戦目。今回は川重や電源開発(Jパワー)、岩谷産業などの協力を得て、新たに豪ビクトリア州で「褐炭」と呼ばれる価格の安い石炭から生産した水素を日本に空輸して、利用した。

 川重などは今年度中に、世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」で、褐炭由来の水素を豪州から日本に輸送する実証実験を始める計画だ。トヨタも来年のレースでは、運搬船で運んだ水素を利用する予定だ。

 運搬船は内部に俵形の水素タンク(約1250立方メートル)を備える。水素をマイナス253度に冷やして体積を800分の1に減らして貯蔵。燃料電池車(FCV)1・5万台分にあたる75トンの液化水素を運搬できる。

 燃やしても二酸化炭素(CO2)を排出しない水素は、脱炭素社会に欠かせないエネルギーとされるが、供給コストの高さなど課題も多い。

 川重は今後、安価で調達できる褐炭の利用促進や、運搬船の大型化などでコスト削減を図る方針だが、自動車メーカーなどによる需要拡大の取り組みも欠かせない。橋本康彦社長は「(水素の)大量輸送を実現してコストを下げる中で、『使う』という需要サイドとつながることが、水素社会を大きく進める原動力になる」と、トヨタとの協力の重要性を強調した。

 豊田社長も、「色々な選択肢が広がり、多くの仲間たちが自発的に参加してくれている。これこそが大きな動きだ」と話した。

◆輸送の試み

(上)車両の両側から水素を補給する水素エンジン車(下)会場まで水素を運んだ小型燃料電池トラック(いずれも三重県の鈴鹿サーキットで)
(上)車両の両側から水素を補給する水素エンジン車(下)会場まで水素を運んだ小型燃料電池トラック(いずれも三重県の鈴鹿サーキットで)

 トヨタは今回、国内の水素輸送でも新たな試みに取り組んだ。

 豪州から空輸した水素は、愛知県内から鈴鹿サーキットまでの往復約200キロ・メートルを、水素を燃料とする小型燃料電池(FC)トラックで運んだ。

 FCトラックは重さ15キロの水素を運んだが、これとは別にトラックの燃料として7キロの水素を使った。水素は安全上などから、1・7トンもの容器に入れる必要があり、積み下ろし作業に3~4人が必要となるなど、多くの課題が見えてきた。

 福島県浪江町の太陽光発電による水素製造施設でつくられた水素も、バイオ燃料トラックで運んだ。

 トヨタやいすゞ自動車などが、商用車の技術開発を目的に設立した「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ」の中嶋裕樹社長は、「実際に水素を水素で運んでみて、ハードルの高さが分かった。(改善に向けて)いい題材をもらった」と話した。

◆ガソリン並み

(上)車両の両側から水素を補給する水素エンジン車(下)会場まで水素を運んだ小型燃料電池トラック(いずれも三重県の鈴鹿サーキットで)
(上)車両の両側から水素を補給する水素エンジン車(下)会場まで水素を運んだ小型燃料電池トラック(いずれも三重県の鈴鹿サーキットで)

 水素エンジン車も「カイゼン」が進んだ。エンジンの出力は、ガソリンエンジンと同等のレベルまで向上。車両の両側から水素補給ができるように改良し、満タンまでの時間を初戦の約5分から約2分に短縮した。

 水素エンジンには、脱炭素に加え、エンジン技術と関連する雇用を守る目的がある。豊田社長は「自動車業界にかかわる550万人の仕事を守ると同時に、新しいものに挑戦する」と開発の意義を改めて強調。橋本社長も「日本、世界のエンジンメーカーに希望の光をともしている」と話した。

 レースは1周約5・8キロのコースを90周走り完走した。走行時間(スタート直前の1周含む)は計約4時間5分で、8月の前回レース(約3時間41分)から大きく伸びた。水素 充填じゅうてん は11回で計約25分だった。

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