スピード優先が背景 トヨタ不正車検

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整備士慢性的に不足

 トヨタ自動車は29日に行ったオンライン記者会見で、系列販売会社の不正車検問題について、改めてメーカーとしての責任を認め、謝罪した。車検時間のスピード優先や整備士不足で、現場に過剰な負担がかかっていたとし、再発防止策も打ち出した。(香取直武)

 会見で佐藤康彦・国内販売事業本部長は、「安心・安全を優先せず、それらを損なう結果になった。トヨタや販売店全体で重く受け止め、信頼回復を第一に進めていく」と謝罪した。

 系列販売会社では、3月に「ネッツトヨタ愛知」、7月にトヨタ直営の「トヨタモビリティ東京」での不正車検が発覚。この日の発表分までの累計は15社16店の計6659台となった。

 トヨタは、車検で「45分」「2時間」など、時間の短さを優先させてきた姿勢を不正の原因にあげた。本来、車検時間は車種や年式によって異なるが、一律的な作業時間で予約を受けており、「トヨタモビリティ東京」の関島誠一社長は「時間が目的となり、必要な作業時間が見える化できていなかった」と話した。トヨタは、ホームページに掲載していた「45分で車検完了」などの文言を8月に削除した。

 トヨタも、販売台数や車検の入庫台数で優れた業績をあげた販売店を表彰してきた。佐藤本部長は「(販売会社の)経営層は営業成果重視で現場に無理をさせていた」とし、「(トヨタも)販売店へのサポートが不十分で、表彰制度も(不正を)助長していた」とする認識を示した。

 慢性的な販売店の人員不足も背景となった。整備士が予約受け付けや、洗車、車両の引き渡しなど、整備以外の作業を負担していた店舗もあった。本来の整備に集中できない中、入庫目標を達成するため、残業を前提とした勤務状況があったという。

販売店表彰品質確認も評価

 一連の問題を受け、トヨタは販売店と共に取り組む再発防止策を打ち出した。

 整備士を増やすため、外国人留学生など多様な人材登用を促進する。給与体系を含めた処遇面の見直しや、作業をしやすくする機器の導入、現場の暑さ・寒さ対策といった、労働環境の改善を図る。

 顧客に対しても、車検時間が車種などによって異なることや、土日に集中している車検を平日に分散できるように、理解を求めていく。

 トヨタは、販売店の表彰制度を抜本的に見直す。作業課程や品質の確認、地域のための仕事が出来ているかなど、営業面だけでなく、多様な評価軸を盛り込む方針だ。また、車検作業を撮影し、検査結果を自動転送して、数値を改ざんできなくなる仕組みを作る。

 ただ、対策はいずれも相応の時間を要する。

 日本自動車整備振興会連合会によると、自動車整備士試験(学科)の申請者数は2004年度の約7万2600人から、20年度は3万6630人に半減した。18歳人口の減少や若者の車離れなどが要因とされ、人材不足は業界全体の課題だ。

 トヨタ系列の販売会社は全国に260社ある。それぞれが独立した会社と危機感を共有し、対策を徹底できるのか。

 佐藤本部長は「今後、一台も不正車検が絶対出ないとは言い切れない。不正が出たら隠さずにお伝えする」とした上で、「時間はかかるかもしれないが、一店舗一店舗、一つひとつの課題に向きあい、改善をやり続ける」と話した。

車検 道路運送車両法に基づいて、決められた保安基準に適合しているかどうかを定期的に検査する制度。自家用乗用車や軽乗用車は、新車登録から3年後に、その後は2年ごとの検査が義務づけられている。国の検査場のほか、国の指定を受けた自動車販売店などで受けるのが一般的になっている。

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