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菓子、パン新商品次々

(上)ファインシンターの粉末加工技術で作った「コオロギスナック」(下)敷島製パンが販売するコオロギ粉末入りのバウムクーヘン
(上)ファインシンターの粉末加工技術で作った「コオロギスナック」(下)敷島製パンが販売するコオロギ粉末入りのバウムクーヘン

 コオロギを中心とした昆虫食事業を強化する動きが東海地方で広がっている。たんぱく源が豊富で、世界的に食料不足の解決策として注目され、環境への負荷も少ない。製造業で培った技術を生かしたケースもある。消費者への周知が進めば、市場拡大が期待できそうだ。(中島幸平)

■粉末加工

 自動車部品メーカーのファインシンター(愛知県春日井市)は今春、コオロギ粉末をスナック菓子に練り込んだ「コオロギスナック」を開発した。同社は金属粉末を加工し、自動車のエンジン関連部品などを製造している。電動化が進行し、本業の縮小が懸念される中、得意とする粉末加工技術をコオロギ食に応用した。

 6~10月には、春日井市のふるさと納税の返礼品(寄付額1万円で5袋)に登録された。第2弾として、今月にもコオロギ粉末入りのスープと乾麺をセットにした袋ラーメンを完成させ、来年に販売する予定だ。

 未来創成準備室の植田義久さんは「豊富な栄養分を含むコオロギを単なる珍しい食材で終わらせたくない」と意気込む。高齢者向けのサプリメントやペットフードの開発も目指している。

(上)ファインシンターの粉末加工技術で作った「コオロギスナック」(下)敷島製パンが販売するコオロギ粉末入りのバウムクーヘン
(上)ファインシンターの粉末加工技術で作った「コオロギスナック」(下)敷島製パンが販売するコオロギ粉末入りのバウムクーヘン

■少ない環境負荷

 コオロギのたんぱく質の含有量は、牛肉や鶏肉の3倍以上とされる。牛は1年数か月の飼育期間を要し、げっぷに含まれるメタンガスが二酸化炭素を多く排出するが、コオロギは生育するまでの期間が1か月程度と短く、環境への負荷も少ない。こうした生産効率の高さが利点となり、お菓子のほかにも利用が増え、市場が形成され始めている。

 敷島製パン(名古屋市)は今年、コオロギ粉を使ったクロワッサン(5袋10個入り)やバウムクーヘン(いずれも税込み2592円)のネット販売を始めた。食料危機を見据えた取り組みで、広報担当者は「コオロギ食への抵抗感を和らげたい」と話す。

 岐阜市の昆虫専門店「くわがた村」は10月、昆虫食を扱った自販機を設置。コオロギやバッタの素揚げなど10品目を各1000円から購入できる。「値段は少し高いが、環境問題を身近に考えるきっかけにしてほしい」(担当者)という。

 岐阜県大垣市の食品製造の「キャナリィ21」は3月、「コオロギせんべい」の販売を始めた。地元の直営店で税込みで1袋324円(60グラム)で販売し、小売店や受託生産を含めると計17万袋ほどが売れている。同社はキャンディーやクッキーなども検討中だ。

 世界的な食料危機を懸念する国連食糧農業機関(FAO)は2013年、昆虫食を奨励する報告書を発表した。欧州連合(EU)が18年、昆虫を「新規食品」として承認するなど、世界的にも注目は高まっている。

 現在、食用コオロギなどの供給量が限られているため、昆虫食の価格は総じて高い。販路開拓や昆虫独特の臭いを抑えた味付けなどの課題がある。それでも、調査会社の日本能率協会総合研究所は、コオロギを含む昆虫食市場の世界市場規模が19年度の70億円から、25年度に1000億円に拡大すると予測している。

 日本では、イナゴのつくだ煮や蜂の子など、もともと昆虫を食べる習慣もあり、違和感なく受け入れられる素地もある。同研究所は「昆虫の養殖に注力する企業も増加している。製品の価格低下で普及が見込まれる」とみている。

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