JR車両データ常時監視 在来線新システム 2万項目異常を察知

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ディアーナでは、リアルタイムで車両に異常がないか確認できる(JR東海提供)
ディアーナでは、リアルタイムで車両に異常がないか確認できる(JR東海提供)

 JR東海が4月から、在来線車両のモーターやエンジン、ブレーキなどの動作データをリアルタイム(同時進行)で収集し、分析する監視システムを導入した。故障や不具合の予兆を察知し、異常発生時にも原因を素早く突き止められる。安全性の向上や安定運行につながると期待されている。(佐野寛貴)

■ブレーキ、蓄電池 システムは「DIANA(ディアーナ)」と呼ばれ、4月1日から運用されている。3月に投入された新型在来線車両「315系」7編成56両のほか、7月に特急「ひだ」で営業運転が始まる「HC85系」にも導入される。

 収集される情報は、315系がモーターやブレーキ、空気圧縮機など9機器で2万項目、HC85系ではエンジンや蓄電池など12機器の4000項目におよび、0・2秒おきに記録される。

 この大容量のデータを分析サーバーに送り、車両基地や指令などから同時に車両の状況を確認できる。

(右)315系(左)HC85系
(右)315系(左)HC85系

■運行を継続 すでにシステム導入の効果が出ている。315系のある車両で、乗務員が不具合を感知したが、指令などがデータで故障ではないと確認したため、運行を継続できたケースがあった。

 これまで、車両機器のデータは、基地に入った時しか集められなかった。不具合も、発生後に乗務員が無線で説明するほかに、状況を把握する手段がなかったという。

 集まった情報は自動解析され、故障に至る前の「予兆」となる変化を検出できる。故障時にも早めに原因を推測し、必要な部品の収集などができるため、修理期間が短縮できるという。

 林克高・検修課長は「いままでは開けてナンボ、現物を見てナンボ、という世界だった。何かがあるとすぐに運休せねばならず、お客様に迷惑がかかった。そういう事例を確実に潰せている」と手応えを語る。

(右)315系(左)HC85系
(右)315系(左)HC85系

■冷房制御目指す ハイブリッド走行を採用したHC85系では、エンジンのリアルタイム分析に、国内鉄道で初めて取り組んでいる。

 燃料残量のほか、エンジン出力や潤滑油の圧力と温度、冷却水の温度などを測る。インジェクターをはじめとする部品の不具合や、冷却がうまくいっているかなども分析する。

 車内で使う電力の供給源でもある気動車の「心臓」の安全管理を、徹底する狙いだ。

 315系では、AI(人工知能)による冷房の制御も目指す。現在は巡回する乗務員が手動で調節しているが、今後はAIが車室の温度や湿度、乗車率を踏まえてその調整を学習し、自動で快適な温度を維持する計画だ。林課長は「新しい技術を使い、より良いサービスで付加価値をつけたい」と話す。

 今後は、新型車両への置き換えが進むとともに、集まるデータの量もますます膨大になる。安全性の向上に加えて、これまでの修理や検査項目の見直しにも役立てたい考えだ。

 データの蓄積で不具合が発生しやすい箇所や部品が分かれば、車両自体の改良につながる可能性もあるという。

新幹線も24時間・高精度

 JR東海は東海道新幹線でも、車両のデータを遠隔で確認する取り組みを進めている。

 2015年に設置した「車両データ分析センター」では新幹線の運転状況のほか、振動、電流と電圧、部品の温度なども、24時間体制でチェックしている。

 20年7月に投入された新型車両N700Sでは、より大容量のデータ通信技術を使い、精度が向上している。チェック体制の信頼性が高まったことも踏まえ、今年4月からは、全般検査の周期を「120万キロまたは36か月以内」から、「160万キロまたは40か月以内」に延ばした。

 21年からはホームの可動柵や線路の融雪装置、エレベーターといった、列車の運行やサービスに関わる設備についても遠隔監視を始めた。

 JR東海の金子慎社長は、「安全と効率性を両方追求する、ひとつの方向だ」と強調している。

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