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「最初の基礎石が海に投入されました」。24日午前9時半ごろ、愛知県常滑市の中部国際空港西側に浮かぶ監視船。国土交通省名古屋港湾事務所の野村貴之副所長が緊張した面持ちで、同乗した報道陣約20人に「第一投」を報告した。
地元政財界が長年建設を目指してきた新滑走路の予定地の海域を埋め立てる国交省の工事が本格的に始まった。2005年の開港以来の大きな節目となった。

天候の影響で予定より2日遅れて始まったこの日の工事は、名古屋港の
この工事は滑走路を増設する「航空事業」ではなく、国内屈指の輸出基地である名古屋港の機能を維持するため、浚渫土砂置き場を新たに建設する「港湾事業」に位置づけられている。
名古屋港は庄内川から年間約30万立方メートルの土砂が流入している。貨物船の航路を確保するためには年間50万~100万立方メートルの浚渫を続ける必要がある。1975年以来、名古屋港に浮かぶ「ポートアイランド(PI)」に搬入してきたが、高さが計画を大幅に上回り、計約2000万立方メートルが仮置きされている。数年以内に容量オーバーとなる計算だ。
新土砂置き場はその代わりとなるもので、PIの仮置き土や毎年の浚渫土砂が搬入されることになる。

埋め立てが37年頃に終わると、空港会社にバトンタッチ。新滑走路(3500メートル)の建設工事が始まる見通しだ。これに先行し、27年度をメドに現滑走路の東側には別の新滑走路(3290メートル)が完成する。
現滑走路(3500メートル)は最終的には廃止となる。
26日の予定だった着工式典は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期となった。出席予定だった愛知県の大村秀章知事は24日の記者会見で同日の着工について「長年の懸案だった空港の拡張に向けた大きな一歩」と強調。東側の新滑走路についても22年度に環境影響評価手続きに入り、25年度頃に着工するとの見通しを明らかにした上で、「着実に進めたい」と意欲を示した。(岡崎哲)