【実践編】富士山(中) 山小屋コロナ対策徹底 稜線からまばゆい光

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実践編〈7〉
実践編〈7〉
稜線から昇る太陽(7月14日午前5時5分、富士宮ルート9合目で)=尾賀聡撮影
稜線から昇る太陽(7月14日午前5時5分、富士宮ルート9合目で)=尾賀聡撮影

 富士登山の初日(7月13日)は、梅雨明け前ということもあって、雨が降ったりやんだり。視界も開けない中、まずは富士宮ルートの7合目まで進んだ。山小屋に1泊し、2日目(同14日)は登頂に臨む。

 標高約3000メートルにある「元祖七合目山口山荘」に着いたのは午後3時。ザックを下ろし、レインジャケットを脱いで受け付けを済ませた。

「元祖七合目山口山荘」では、仕切りなどの新型コロナ対策が取られていた
「元祖七合目山口山荘」では、仕切りなどの新型コロナ対策が取られていた

 宿泊棟は寝床が上下2段あり、敷布団の上に寝袋が置かれていた。ここでは新型コロナウイルス対策として、宿泊者を収容人員の半分程度に抑え、寝袋は消毒後、3日以上あけて使うなどしている。

 雨や汗で湿った上下を着替え、ひとまず、持参したシーツにくるまって冷えた体を温めた。小一時間ほどして、同行の尾賀聡記者(49)が、雨があがったと教えてくれた。外に出ると、雲間から山々や街並みがうっすらと見え、自分の立つ標高を実感した。

 息苦しさや頭痛はない。食欲もあり、夕食にカレーライスを食べて早々と寝袋に入った。緊張からか目がさえて眠れない。結局、ほぼ一睡もできないまま午前2時半に起床したが、意外に体は軽く、筋肉痛もなかった。エネルギー源になるアミノ酸と水分を取り、1時間後に出発した。

 雨があがって風はなく、気温もちょうど良い。頭上に満天の星が、眼下には街明かりが見えた。

 この時間帯の登山は初めてで、落石に備えて念のためヘルメットをかぶり、ヘッドライトで足元を照らしながら登った。岩が多くなり、傾斜がさらにきつくなっていく。バランスを崩さないよう、小股歩きでゆっくりしたペースを保った。

8合目付近の鳥居と雲海。うっすら明るくなり始めた(14日午前4時23分)=尾賀聡撮影
8合目付近の鳥居と雲海。うっすら明るくなり始めた(14日午前4時23分)=尾賀聡撮影

 東の空が白み始め、青くなっていく。午前4時過ぎに8合目に着き、体が冷えないよう休憩を短く取った。次の9合目へ向かう途中、西の雲海の上に巨大な山の影が浮かんでいた。富士山の影が映し出される現象「影富士」と思われる。

 9合目に到着すると、分厚い雲海が一面に広がり、東の空はオレンジ色の光を帯びていた。山小屋の前で待つこと約10分、 稜線りょうせん から、まばゆい光を放ちながら朝日が昇った。

 目指す山頂には、富士山信仰の中心地である富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市)の奥宮がある。「8合目以上は奥宮の境内地にあたる」。登山者の一人からそんな話を聞いた。

 確かに8合目の辺りで鳥居を見た。先人たちはどのような思いで険しい道を登り、鳥居をくぐったのだろう――。神域に足を踏み入れつつ、そんなことを思った。

 日が昇り、幾分、空気が暖かくなった気がした。ごつごつとした岩を踏み、9合5 しゃく (標高約3500メートル)に上がった。見上げると、山小屋の屋根越しに山頂部が見えた。山肌は赤黒く、行く手を阻む とりで のようにも見える。それでも、ゴールまでの距離は確実に縮まっていた。

社会グループ 磯野大悟 44歳
社会グループ 磯野大悟 44歳

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2305260 0 いつかは富士山! 2021/08/22 05:00:00 2021/08/22 05:00:00 2021/08/22 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210822-OYTAI50008-T.jpg?type=thumbnail

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