イクラ、ウニ…代替食続々 漁獲減備え商機期待

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あづまフーズは、とびこやイクラの代替品や、大豆原料のウナギのかば焼きなどの開発を進めている(三重県菰野町で)
あづまフーズは、とびこやイクラの代替品や、大豆原料のウナギのかば焼きなどの開発を進めている(三重県菰野町で)

 三重県菰野町の水産加工メーカー、あづまフーズの開発室。社員4人が、ガスコンロ、調理台、冷蔵庫が並ぶ 厨房ちゅうぼう のような場所で、「ウナギのかば焼き」や「イクラ」などの代替水産物の開発に取り組んでいた。

 大豆を原料とする「かば焼き」の試作品にガスバーナーで焦げ目を付ける。本物さながらの波打つ皮と身の外観と食感を再現しようと試食を重ねる。

 イクラはダイダイ色に染めたアルギン酸ナトリウム水溶液を器具で1滴ずつ垂らして固める。程よい堅さの「プチプチ感」が課題だ。いずれも今年から開発を始めた。来年の商品化を目指している。

 同社が代替食品事業に参入したのは2014年だった。魚介類の臭さを減らす技術を大豆に応用し、大豆を使った焼き肉、照り焼きチキンやミンチなどの代替肉を開発し、主に海外の日本食レストラン向けに輸出を始めた。取扱量は17年6月~18年5月の6トンから、20年6月~21年5月は40トンに急増している。今年からは国内の焼き肉店やパン屋からも注文が入っている。

 代替食品事業を担当する松永瞭太さん(29)は「大豆肉のノウハウを代替水産物の開発に生かしている」と話す。

 今月からは、台湾の食品メーカーから取り寄せたサーモン、マグロ、イカの代替品「まるで魚シリーズ」の販売も始めた。原料はこんにゃく粉が中心だが、日本人好みの食感や色合いになるように発注したという。

 松永さんは「海外の需要増や乱獲で本物の魚が気軽に食べられなくなってきている。手に入りやすい本物に似た食品の需要も増えていくのでは」と予想する。

 不二製油グループ(大阪市)は来年、豆乳クリームなどで作ったペースト状の「ソイウニ」を本物のウニより安い価格で販売する予定だ。開発責任者の鈴木清仁氏(56)は「海産物を大豆で表現できれば、資源問題は違ってくる」と意気込む。

 東海地方の飲食チェーンや食品メーカーも、代替肉を相次いで取り扱うようになっている。完全菜食主義者(ビーガン)など、食生活の多様化が背景にある。 壱番屋はカレーのトッピングに大豆ミートのメンチカツを加えた。井村屋は「大豆ミートまん」を発売している。「コメダ珈琲店」を展開するコメダホールディングスは昨夏、植物由来の原料を使う新ブランドの店舗を東京・銀座にオープンした。

 調査会社TPCマーケティングリサーチ(大阪市)によると、植物性由来の肉や乳製品などの国内の20年度の市場規模は10年前の5・1倍の246億円に上り、市場規模は拡大する見通しだ。

 日本では、食の安全安心に対する消費者の要求水準が高い。だが、代替食品の規格や品質基準などはメーカーごとにばらばらだという。消費者庁は今年8月、植物性由来食品の特徴や注意点などを初めて示した。

 カゴメ(名古屋市)や敷島製パン(同)、不二製油グループなど15社は植物性食品の摂取を呼びかける団体を設立し、10月に一般社団法人化した。代替食品に対する消費者の意識調査の実施、ルール作りに向けた提言などを検討している。

 カゴメの担当者は「代替食品は消費者にまだ認知されていない部分がある。政府や企業が普及に向けた取り組みを一緒に進めていく必要がある」と話す。

世界消費倍増価格は高騰

 新興国の経済発展や欧米諸国での健康ブームを背景に、魚介類の争奪は激しくなっている。

 世界の1人あたりの消費量は1961年の9キロから18年は19・3キロと倍増している。日本は50・4キロから44・7キロと減少傾向にあるが、米国は13・0キロから22・2キロ、中国は4・3キロから38・0キロに急増した。

 価格も高騰している。国内の生鮮魚介類の消費者物価指数(2010年=100)は2020年に131・1と、10年前より3割以上上昇した。食料全体(112・7)を大きく上回る。最近ではコロナ禍で停滞していた経済活動の再開や原油高なども価格を押し上げる一因となってる。

 国連食糧農業機関(FAO)が発表した9月の世界の食料価格指数(2014~16年の平均=100)は前年同月比で32・8%高い130・0と、10年ぶりの高水準となった。

 あづまフーズの代替食品「まるで魚シリーズ」は1袋(230グラム)各990円と、まだ本物よりも割高だが市場拡大や量産が進めば、代替品の価格下落が進むとみられている。

  先端技術を活用し、食料問題の解決策を図る「フードテック」への注目が高まっている。従来の食品区分や生産手法といった“食域”を超え、新たな市場開拓に挑む東海地方の企業を追った。

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2513743 0 ”食域”を超えろ! フードテック 2021/11/12 05:00:00 2021/11/12 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/11/20211111-OYTAI50007-T.jpg?type=thumbnail

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