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理想の米で酒 個性磨く
名城大学の学生サークル「日本酒研究会」の有志が、愛知県愛西市本部田町の「青木酒造」をリポートする。文化2年(1805年)に創業し、200年以上の歴史を誇る同社の酒造りについて、14代目の青木春彦社長(64)にインタビューするとともに、酒蔵を訪ねて工程の説明を受けたり、利き酒をしたりした。
原料のこだわり

青木社長は「酒造りの出発点」として、原料の米へのこだわりについて語った。
使用する酒米は、近隣で栽培している「若水」、愛知県安城市の「
「出来る酒の味は米の作り手によって異なり、個性が出る」というのが持論。そのため、決まった農家にお願いしており、最低でも田植え後と稲刈りの時期の年2回は、その年の米について話し合う。
酒造りでは、
酵母は購入せず、「蔵付き酵母」を使っている。青木社長は、「蔵の中にすみついている酵母が、自然にお酒を発酵させる。いい酵母が舞い降りてくるよう、神様にお願いしている」と語る。
乳酸を入れてアルコール発酵させる「速醸モト造り」でも、蔵の中の乳酸菌を培養して使用している。

商品ブランド
商品のブランド「
米宗の50%純米大吟醸は、「こってりとした料理にも合う。脂がしたたり落ちるような肉料理と合わせてもいける。これからの季節、屋外でバーベキューを食べながら、ビールジョッキに氷と原酒を入れて飲んでもおいしい」。
「青木」の読みに、画数を考えて作った新しい商標が「
季節に合わせた酒
季節限定商品に「
数日たってから開けると、瓶内発酵が進んでいるため、「ポン」と良い音がするそうだ。ガラスが厚くて重いシャンパンの瓶を使っており、容器にもこだわりが垣間見える。
青木酒造は、年間を通じて酒を造り続ける「四季蔵」ではなく、造るのは冬だけ。夏場は、「梅の木を育てている方から、縁あって『剣先』梅をいただいた」として、梅酒を造っている。このほか、ゆず果汁を使ったリキュール造りも進めている。
また、コラボ商品として、愛西市にある洋菓子店「エール・ブランシュ」が、米宗の吟醸純米酒や、ゆず酒を使った焼き菓子「こめそう」「こめそう~ゆず~」を売り出している。

今年の初めからは、「
非常に糖度が高いので、「食前酒、食後酒としてもいける。甘いチョコレートケーキと合わせてもおいしい」と話した。
「お酒とは」

「お酒というものは、基本的に食中酒であり、おいしい料理を食べた時に、おいしいお酒が飲みたいという気持ちがあふれるものだ」というのが、青木社長の考えだ。
酒は「温度やグラスを変えたり、注ぎ方を変えたりしても、違った味わいや香りを楽しむことができる」と語る。氷を入れて飲むお酒もあり、最初にフレッシュ感を楽しんだ後は、1分後、3分後、5分後と、氷が解けるに従って味わいも変化していく。「『ちびちび』『ごくごく』と飲み方を変えても、飲み始めと2合目でも、味は違って感じられる」
青木社長はそう解説したうえで、酒の飲み方について「外から得た知識に頼るのではなく、自分の舌で味わいながら、どうすればおいしく飲めるかは自分自身で確立してほしい」と要望する。「うちの酒を『こうやって飲んだらおいしかった』と、みなさんから聞けるのが一番うれしい」と笑顔を見せた。