「楽園の殺人」(二見書房)

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ミステリー作家 越尾圭さん

 面白かった。感銘を受けた。ページをめくる手が止まらなかった。そんな本の感想を発信するツイッターのアカウント「読書 あか 」を持っている読書家たちが、140文字では伝えきれない思いの丈を語る。1回目は、愛知県東浦町在住のミステリー作家・越尾圭さん(48)にインタビューし、著作や愛読書について尋ねた。

絶海の孤島舞台に描く

越尾圭さん著「楽園の殺人」(二見書房)
越尾圭さん著「楽園の殺人」(二見書房)

 もともと好きだったのは歴史小説。「新・平家物語」(吉川英治)は、源氏と平家の対照的な描き方、登場人物の造形などが面白くて、全16巻を3回読んでいる。地元の東浦町は、徳川家康の母・ 於大おだい の方の出生地というゆかりもあり、歴史上の人物では家康が好きだった。それで「徳川家康」(山岡荘八)にはまり、全26巻だが、やはり3回読んだ。

 思い入れのある本としては、一番に「獄門島」(横溝正史)を挙げたい。読書の幅を広げようとしていた高校生の頃、初めて読んだ本格ミステリーだ。見立て殺人で、真相解明の決め手となるキーワードが衝撃的だった。「そういうことだったのか」と最後にわかる。

 30歳代半ばくらいで初めて小説を書き上げ、応募したのが「横溝正史ミステリ大賞」(現「横溝正史ミステリ&ホラー大賞」)。1次選考を通過して「頑張ればいけるかも」と手応えを感じた。

 デビューはそれから9年後の2019年。宝島社の「『このミステリーがすごい!』大賞」の「隠し玉」として、「クサリヘビ殺人事件 蛇のしっぽがつかめない」が出版された。殺人の凶器として毒蛇を使うことを思いついたが、「マムシなんかじゃ面白くないな」と構想を広げ、ワシントン条約で取引が規制されているラッセルクサリヘビにたどりついた。

 その年の冬、名古屋で開催された書店員や作家、編集者の懇親会で、外来種に関する本の編集者に出会い、「クサリヘビ――」を書いていたことから、動物をテーマにした小説を依頼された。それが「楽園の殺人」執筆のきっかけとなった。

 ちょうど、南硫黄島の自然環境をテーマにしたドキュメンタリー番組を見たばかり。島の固有種がつくる独自の生態系に関心をひかれたこともあって、架空の「東硫黄島」を舞台に選んだ。

 クローズドサークルで殺人が起こるミステリーだが、絶海の孤島という狭い場所なので、動きがないと飽きられてしまうと考え、意識して色々と場面を転換させた。執筆の際、大事にしているのは読みやすさ。ストレスなく読み進めてもらいたいとの思いを込めている。

 今後はミステリーの中でも、違うジャンルに挑戦してみたい。戦国時代や源平時代を絡めるような歴史小説系もありかな。(談)

越尾さんおすすめの10作品

「徳川家康」山岡荘八

「火車」宮部みゆき

「容疑者Xの献身」東野圭吾

「北の夕鶴2/3の殺人」島田荘司

「空飛ぶ馬」北村薫

「十角館の殺人」綾辻行人

「64」横山秀夫

「玩具修理者」小林泰三

「13階段」高野和明

「天使のナイフ」薬丸岳

越尾圭さんの著書
越尾圭さんの著書

こしお・けい

(@kei_koshio)

 2019年7月、「クサリヘビ殺人事件 蛇のしっぽがつかめない」(宝島社文庫)でデビュー。既刊に「殺人事件が起きたので謎解き配信してみました」(同)、「AIアテナの犯罪捜査 警察庁情報通信企画課<アテナプロジェクト>」(同)がある。最新刊は21年11月発行の「楽園の殺人」(二見書房)。

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