「大須裏路地おかまい帖 あやかし長屋は食べざかり」(宝島社文庫)

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作家 神凪唐州(Swind)さん

(@swind_prv)

 名古屋市在住の作家・ 神凪かんなぎ唐州からす さん(44)は、「Swind」の筆名でも小説を著している。作品は主に、生まれ育った地元・名古屋が舞台で、「小さい頃から大好き」という料理をテーマとしている。著書や影響を受けた作品について聞いた。

名古屋めし たっぷり登場

「大須裏路地おかまい帖」と「ミスター味っ子」を手にする神凪唐州さん
「大須裏路地おかまい帖」と「ミスター味っ子」を手にする神凪唐州さん

 自分の作品で最も思い入れが強いのが「大須裏路地おかまい帖 あやかし長屋は食べざかり」。初めての文庫書き下ろしで、2018年5月に刊行された。

 舞台は名古屋・大須。実在の場所を出しながら、何でもある“ごった煮”の街らしさを描き、登場する「あやかし」も、鬼や妖怪、半妖半神と、ごった煮感を出している。ストーリーは、大須エリアに伝わる「おから猫」の民話をヒントにした。神社にいる大きな猫の妖怪で、「いつも寝てばかりいる」「病気を治す御利益がある」などと様々な形で伝承されており、そこに現代的な解釈を加えた。

 主人公は若い神主で、あやかしが住む長屋の管理人もしながら、夜は居酒屋を営んでおり、料理を振る舞うのだ。どて煮や手羽先、志の田うどん、おから入り手羽ギョーザと、名古屋めしがたっぷり出てくる。

 これまで刊行した小説は料理の話が軸になっている。デビュー作の「異世界駅舎の喫茶店」(宝島社)は、「名古屋の喫茶店を異世界に持っていったら」という発想で書いた。

 料理をテーマにした作品は、漫画「孤独のグルメ」のような食べ歩き系も多いが、自分としては、作り手の気持ちを書きたいと思っている。なぜその料理を作るのか、その料理を選んだ理由は何か、そもそもなぜ料理をするのか、というように。基本的に、作品に登場させるレシピは実際に自分でも作っている。

 料理が好きになったのは、小学生の頃、週刊少年マガジンに連載されていた寺沢大介さんの漫画「ミスター味っ子」を読んでからだ。料理を作る主人公の味吉陽一が同世代ということもあって、描かれたメニューを自分でも再現してみるほどはまった。「陽一特製」のナスを巻いたスパゲティーも作ってみたが、うまく巻けなかった思い出がある。

 寺沢さんとは、デビュー後にご縁があって、「異世界駅舎の喫茶店」の続編には、帯に推薦文を書いていただいた。作中の喫茶店「ツバメ」を盛り込んだ「旅に出たくなる。疲れた身体に『ツバメ』のミルクティーはきっとしみる」という一文。小説のキャラクターについても、「もっとぶっとばせ」とアドバイスをいただいた。もっと破天荒に描いてもいいんじゃないか、との趣旨だ。

 とにかく「ミスター味っ子」から受けた影響は大きい。料理対決をスポ根漫画のように描くというフォーマットを確立した作品で、自分もこういう小説を書きたいなと常に思っている。(談)

神凪唐州(Swind)さんの著書
神凪唐州(Swind)さんの著書

  【かんなぎ・からす(すいんど)】  「異世界駅舎の喫茶店」で、第4回ネット小説大賞を受賞しデビュー。小説はほかに「名古屋四間道(しけみち)・古民家バル きっかけは屋根神様のご宣託でした」(ポルタ文庫)、「屋上屋台しのぶ亭 秘密という名のスパイスを添えて」(マイナビ出版ファン文庫)などがある。「名古屋めし料理家」としても活動。レシピ集「でらうまカンタン! 名古屋めしのレシピ」(新紀元社)を著している。

神凪唐州さん おすすめの10作品

「ミスター味っ子」寺沢大介

「名古屋めし」大竹敏之

「ナゴヤ愛」陽菜ひよ子

「名古屋駅西喫茶ユトリロ」太田忠司

「名古屋16話」吉川トリコ

「高杉さん家のおべんとう」柳原望

「居酒屋ぼったくり」秋川滝美

「異世界居酒屋『のぶ』」蝉川夏哉

「ぶたぶたのティータイム」矢崎存美

「Cooking for Geeks 第2版 料理の科学と実践レシピ」Jeff Potter/水原文訳

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