福澤諭吉、齋藤孝・訳「学問のすすめ現代語訳」(ちくま新書)

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「学問のすすめ 現代語訳」
「学問のすすめ 現代語訳」

ツタヤブックストア名鉄名古屋

@TSUTAYA__NAGOYA

土屋江里子さん

 「誰もが知っているのに、実際に読んでいる人は少ない本」。福澤諭吉の「学問のすすめ」について、ツタヤブックストア名鉄名古屋(名古屋市中村区)スタッフの土屋江里子さんはそう語る。「書かれている内容は普遍的」だとして、齋藤孝さんの現代語訳を読むことをすすめている。

諭吉の言葉 働く指針に

「学問のすすめ 現代語訳」をすすめる土屋さん(ツタヤブックストア名鉄名古屋で)
「学問のすすめ 現代語訳」をすすめる土屋さん(ツタヤブックストア名鉄名古屋で)

 福澤諭吉という人物は誰でも知っているし、「天は人の上に人を造らず」という言葉も、とても有名だ。

 それでも、最も有名な著書である「学問のすすめ」を読んだことのある人はあまりいない。読みづらい文語体という理由も大きいだろう。せっかくいい本なのだから、読みやすい現代語訳が出ているので、ぜひ手に取ってみてほしい。原著が書かれたのは明治時代初期だが、大所高所から時代を読み切り、未来も見通している。

 齋藤さんがその本で紹介しているように、諭吉が自身の言葉で、現代の私たちを元気づけてくれる。「働く気持ちに火が付くという感じなのです」との記述が実感できる。困った時の考え方や、生き方の指針になる。

 中でも、「人望」について言及している文章は印象深い。人望とは、「実際の力量で得られるものではもとよりないし、また財産が多くあるからといって得られるものでもない」「その人の活発な知性の働きと、正直な心という徳をもって、次第に獲得していくものなのだ」と。

 しっかりした基盤を持たず、自分の言いたいことばかり言って、乱暴に話を進める人がいる。しかし、いつでも、どんな時代でも、自分の主張を叫ぶだけでなく、相手のこともしっかり考えなければいけない。そういう本質も語っている。読み込むほど、こんなに優れた書籍を知らないのはもったいないという思いが強くなる。

 「声に出して読みたい論語」も、齋藤さんが古典を読みやすく解説した書籍の一つだ。「温故知新=古きをたずねて新しきを知る」といったように、「論語」もまた、時代が変わっても、その内容は普遍的だ。この本を読んで興味をひかれた方には、下村湖人さんの「論語物語」をすすめたい。

 大好きな本としては、「最初の質問」を挙げたい。長田弘さんの詩に、いせひでこさんが絵を添えた絵本だ。

 「今日あなたは空を見上げましたか」という質問から始まり、「街路樹の木の名前を知っていますか」などと語りかけてくる。

 「そういえば歩いているときに周りを見ていなかったな」「春になったのに、道ばたに咲いたタンポポに気づかず通り過ぎていたのかな」なんて考えてしまう。周囲を見渡す余裕がなくなっていた時、心にしみる。優しい気持ちになれる。疲れている方は、この本で癒やされてほしい。

 最後は、「あなたは言葉を信じていますか」という一文で締めくくられる。「言葉にしていないところに本意があるのではないか」「表面に出てきていないけれど大切なものがあるのではないか」と、思わず考えさせられる。

土屋さんおすすめの10作品

「声に出して読みたい論語」齋藤孝

「論語物語」下村湖人

「最初の質問」詩・長田弘、絵・いせひでこ

「旅の絵本」安野光雅

「ちいさいおうち」バージニア・リー・バートン

「星の王子さま」サン=テグジュペリ

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」ブレイディみかこ

「スマホ脳」アンデシュ・ハンセン

「ヒトの壁」養老孟司

「FACT FULNESS」ハンス・ロスリングほか

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3082590 0 東海読書アカウント 2022/06/15 05:00:00 2022/06/15 11:56:14 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/06/20220614-OYTAI50018-T.jpg?type=thumbnail

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