読売新聞オンライン

メニュー

演劇の力 見せる時

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

観客の心 揺さぶりたい

劇団UZ 8月、松山 旗揚げ公演

旗揚げ公演「狼煙の豚」に向け、稽古を重ねる劇団UZの団員ら。右端が上松さん(松山市で)
旗揚げ公演「狼煙の豚」に向け、稽古を重ねる劇団UZの団員ら。右端が上松さん(松山市で)

 新型コロナウイルスに 翻弄ほんろう され、「不要不急論」さえも取り沙汰された演劇界だが、県内では8月に新劇団が旗揚げ公演を予定しているほか、「大人の演劇鑑賞会」も企画される。厳しい状況は続くが、「今こそ、演劇の力を見せる時」と、舞台人の思いは熱い。感染対策を徹底し、オンラインでもリモートでもない「生の舞台」が帰ってきている。(井手正賢)

 8月に旗揚げ公演を行うのは、松山市の劇団 UZうず 。市内の民家を借り、連日稽古を重ねる。

 劇団を主宰する上松知史さん(34)は、愛媛大を卒業後、市内の劇団などで俳優活動を続けていたが、「本格的に芝居に向き合おう」と、大学時代の友人で、脚本・演出を担当する伊豆野 ひとみ さんと、昨年7月に劇団を結成した。

 今年4月に計画していた公演は、新型コロナの感染拡大で中止せざるを得なかった。公演参加者の中には、別の仕事に就いている人もおり、劇団の活動で迷惑をかけるわけにはいかない、という判断もあった。

 キャスト全員が客員という6月の準備公演を経て、ようやく8月の旗揚げ公演にこぎ着けた。

 上演するのは、「 狼煙のろし の豚」。上松さんが演じる、高校2年生から20年近く引きこもりを続ける「ニシダ君」に、謎の女「ミクニ」、妹「サチコ」が絡み、消えゆく風景と記憶を描く、家族の物語だという。

 突拍子もない設定ではあるが、コロナが色濃い影響を落とす今の時代の生きづらさ、その中にくすぶる「承認欲求」にもスポットを当てたと言う。

 舞台と観客が近い小劇場での公演に、上松さんは、観客も「出演者の一人」として、一緒になって空気感を作り出していってほしい、と期待する。

 「劇を見ることは、実体験すること」と話す上松さんは、上演後の観客からの「感情がぐちゃぐちゃになった」、「めちゃよかった」という声に励まされてきたという。

 「松山という土地で、色々な人に助けられ演劇も続けてこられた」と上松さん。劇場体験が、見る人の心を揺さぶる時間となればという思いを生の舞台にぶつける。

          ◇

 「狼煙の豚」は、8月7、8日の計4回公演で、松山市緑町、シアターねこ。上松さんのほか、川崎樹杏さん、客演として演劇集団「円」の新上貴美さんが出演。前売り2000円、当日2500円。問い合わせは、シアターねこ(089・904・7025)。

今の時代に響く古典を

サラダボール 10、11日 東温で鑑賞会

ポップでキャッチーな展開のサラダボール公演「三人姉妹 monologue」。滝さん(左端)らがチェーホフに挑む(東温市で)
ポップでキャッチーな展開のサラダボール公演「三人姉妹 monologue」。滝さん(左端)らがチェーホフに挑む(東温市で)

 東温アートヴィレッジセンター(東温市)が企画する「古典戯曲を題材にした大人の演劇鑑賞会」。第1弾として、チェーホフ原作の戯曲「三人姉妹 monologue」を上演するのは、香川県善通寺市を拠点に活動する劇団「サラダボール」だ。

 主宰する四国学院大准教授で演出家の西村和宏さん(47)は、昨年3月に完成させていた脚本を、コロナの感染拡大という状況変化で、破棄した。時代の息遣いを反映したものにと、出演者らとオンラインで意見交換しながら、改めて脚本に向きあった。

 舞台は、19世紀後半の革命前夜のロシア。生まれ故郷のモスクワを離れ、田舎で暮らすプローゾロフ家の三姉妹たちの物語を中心に展開する。

 明日のことが分らない暗い時代、どこにも行き場がない状況は、コロナ禍の今と驚くほど状況が似ている、と西村さんは言う。

 原作を大胆にアレンジし、女優3人によるモノローグ(独白)をベースに再構築。話し言葉を取り入れ、ポップでキャッチーな展開にした。

 出演者で、あいテレビのアナウンサーでもある滝香織さんは「とにかくしゃべって、歌って踊っての2時間20分。全身全霊で演じています。個性が強い姉妹の三者三様の生き方は、共感してもらえるはず」と稽古に余念がない。

 西村さんは「大混乱の時代に生き、大革命の前に亡くなった100年前のチェーホフの言葉は、今の私たちにも響く。それが古典の魅力だ」と話す。

          ◇

 「三人姉妹 monologue」は、10、11日の計3回公演で、東温市見奈良、東温アートヴィレッジセンター。滝さんのほか、鈴木智香子さん、高橋なつみさんが出演。一般2500円、25歳以下1500円、高校生以下無料。予約のみ。問い合わせ、電話予約は、東温アートヴィレッジセンター(089・990・7210)。

無断転載・複製を禁じます
2175475 0 ニュース 2021/07/03 05:00:00 2021/07/03 05:00:00 2021/07/03 05:00:00 別送り(松山市で)=井手正賢撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210702-OYTNI50065-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)