誉れ高き米目指して

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米どころ再興! ブランド戦略

 国内で最も愛される米の品種「コシヒカリ」を生んだ県内で、近年、新しい県産品種「いちほまれ」が積極的にPRされている。「コシヒカリを超えた」のキャッチフレーズで2018年度から本格販売を開始。今年の新米も9月下旬から店頭に並ぶと、次々と消費者が買い求めている。新潟県の「魚沼産」がトップブランドとして定着し、県産の価格向上が見込めないコシヒカリに代わって、いちほまれを新たなブランド米に育て上げ、「米どころ福井」の定着につなげる。(西平大毅)

光る稲

 コシヒカリが誕生したのは1956年。県農事試験場(当時)に、美しい黄金色の稲穂が実った。

 終戦後の食糧事情を改善しようと、病気に強く、収量を期待できる品種を目指して開発が進められたコシヒカリ。研究中の48年には福井地震が発生し、試作を進める田んぼに地割れが起きるなど困難に襲われたが、生き残った稲で作業を続け、開発に成功。基となる研究を手掛けた新潟県と県内とで共通する名称として、北陸地方のかつての呼び名「こしの国」に「光り輝く」との意味から命名された。

価格差

 しかし、その後の普及に積極的だったのは、新潟県の方だった。開発された56年に早速、農家への「作付け奨励品種」に選定。一方、県内は16年後の72年と大きく出遅れた。「風で倒れやすい」との短所を懸念したためだったという。

 新潟県によると、栽培を積極的に進めるとともに、新聞広告やテレビCM、首都圏でのイベント開催などで「新潟のコシヒカリ」を猛アピール。そのうち、スキーや温泉を目的に訪れた観光客らの間で「新潟の米はうまい」「あの味が忘れられない」などと口コミが広まり、ブランドが定着。代表格の「魚沼産」は、卸売業者への取引価格で他地域のコシヒカリを2~3割程度上回るようになったという。

 一方、福井県は「詳細な記録は残っていないが、新潟ほどのPRはしなかった」とし、ブランド力に差がついた要因として、「主に首都圏に販売した新潟に対し、県内産の販路は主に関西。都市圏の規模の差が、そのまま消費量や認知度の差になっていった」とする。

日本一

収穫される「いちほまれ」(永平寺町で)
収穫される「いちほまれ」(永平寺町で)

 「どんなコシヒカリを作っても、今から新潟は超えられない。コシヒカリを上回る品種を作るほかない」との共通認識から始まった、県を挙げての新品種開発。

 コシヒカリの派生品種にほかの品種を交配させるなどして約20万種もの〈候補米〉を作りだし、約5年かけて、その中から最も味がよく病気に強い品種を選び出した。公募で決めた名前は「いちほまれ」。「日本一おいしい誉れ高きお米」との思いを込めたという。

 「コシヒカリの失敗を繰り返すまい」と、県と県JAグループでつくる「ふくいブランド米推進協議会」は、県出身の歌手五木ひろしさんを起用したテレビCMを制作し、首都圏などで放送。今秋からは、タレント本田望結みゆさん、紗来さらさん姉妹に切り替え、さらなる浸透を図る。新型コロナウイルスの感染が落ち着けば、イベントなどにも積極的に参加していく考えだ。

 県福井米戦略課の角内宏幸参事は「いちほまれを全国に通用するブランド米に成長させ、『福井のお米はおいしい』というイメージを幅広く定着させたい」と意気込む。

「特A」4品種獲得 全国で福井のみ

 米の販売価格に直結することから、各地域では、品種ごとのブランド化や地域全体の「米どころ」としてのPRに力を入れている。

(いちほまれ)
(いちほまれ)
(コシヒカリ)
(コシヒカリ)
(ハナエチゼン)
(ハナエチゼン)
(あきさかり)
(あきさかり)

 しかし、「いわゆる『米どころ』という言葉に明確な定義はない」(県)という。「米どころ」の印象が強い県内だが、収穫量(2019年)で比較すると、県内は計13万500トンで全国22位。実は、埼玉県や愛知県より少ないのだ。

 県が強調するのは、地域における稲作の重要性だ。県内の農業産出額(18年)に占める米の割合は64.9%で、富山県に次いで全国2位。「福井の農作物と言えば米」とのイメージの要因と言える。

 もう一つのアピールポイントは品質。日本穀物検定協会の「食味ランキング」(17年)で、県産の主要4品種(いちほまれ、コシヒカリ、ハナエチゼン、あきさかり)はすべて最高評価「特A」を獲得。特Aが4品種に上ったのは県内のみだ。県の担当者は「いちほまれを旗頭に『米どころ福井』のイメージを広げ、県内農家の所得拡大につなげたい」とする。

 ニュースをわかりやすく伝える「New門@福井」。10月は「米」をテーマに連載します。

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1535234 0 New門@福井 2020/10/10 05:00:00 2020/10/10 05:00:00 2020/10/10 05:00:00 「いちほまれ」のラベル画像 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201009-OYTAI50048-T.jpg?type=thumbnail

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