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有権者「政策じっくり見比べ」
7月10日の投開票に向け、参院選福井選挙区(改選定数1)に立候補している6陣営が、SNSを使った選挙戦に力を入れている。社会の急速なデジタル化に対応しようと、今回初めて取り入れたベテランや、ほぼSNSだけの「空中戦」を繰り広げる新人もいる。(仁木翔大)
政治団体「参政党」新人で主婦の砂畑まみ恵候補(40)は選挙カーを使わず、日々の情報発信は専らインスタグラムだ。
無所属新人で前衆院議員の斉木武志候補(48)は今月から、ツイッターで政策を主張する約1分の動画の投稿を始めた。
自民党現職の山崎正昭候補(80)は従来の集会などに加え、今回初めてツイッターやユーチューブのアカウントを開設した。
共産党新人の山田和雄候補(54)は、街頭演説の予定をツイッターなどで予告。22日の出発式の演説の動画も公開している。
無所属新人の笹岡一彦候補(66)は、ホームページやフェイスブックなどに政策を語る動画や遊説日程などを投稿している。
NHK党新人で前大野市議のダニエル益資候補(42)は、ブログやユーチューブでの発信を活動の中心に据え、浸透を図る。
「NTTドコモ モバイル社会研究所」が、主に生活情報を得ているメディアを複数回答で尋ねた2021年1月の調査では、「テレビ」の46・1%に次いで、「ウェブサイト・アプリ」が43・4%、SNSなどの「ソーシャルメディア」が33・3%と多かった。10~20歳代に限ると、SNSが最多の約6割を占め、30~40歳代ではウェブサイト・アプリが最多の約5割だった。
ある陣営のスタッフは「集会や街頭演説のような従来の選挙戦だけではなく、新しいやり方を積極的に取り入れていかないと勝てない」と危機感を募らせる。
期日前投票をする人が増加傾向にあることを踏まえ、政党関係者の一人は「公示後すぐに名前と政策を拡散し、選択肢に入れてもらうための貴重な手段だ」と狙いを話す。
「大勢のスタッフがいなくても、主張はスマホ一つで届けられる」と語るのは、新人候補の一人。別の陣営の幹部は「広い選挙区をくまなく回るのは時間的に難しい。SNSなら事務所にいながら有権者に声を届けられる」と期待する。
有権者にとってSNSは、候補者を知る重要な手段だ。福井市内のパート従業員女性(34)は「仕事や子育てで、候補者の政策を知る機会が少なかったが、SNSやホームページなら好きな時間にどこででも見られる。今回は全員の政策をじっくり見比べて投票したい」と話していた。